2021.12.15

ブックマーク

『若おかみは小学生!』の著者が「マンモス復活計画」にハマった理由

もしも、絶滅した生き物をよみがえらせることができるとしたら?

作家:令丈 ヒロ子

日本には、「マンモス復活」を目指す研究者がいるーー。

児童文学作家で「若おかみは小学生!」の著者・令丈ヒロ子氏が、近畿大学の「マンモス復活プロジェクト」を徹底取材した書籍『よみがえれ、マンモス! 近畿大学マンモス復活プロジェクト』刊行によせて、執筆の背景を語る。

これがマンモスだ!
2010年にサハ共和国で発掘されたマンモスの頭の部分。長い鼻の形がはっきりわかります。写真提供/近畿大学

マンモス復活を研究している人たちがいるなんて

近畿大学の「マンモス復活プロジェクト」を知ったのは、2020年夏、大阪南港ATCギャラリーで開催された企画展「マンモス展」-その『生命』は蘇るのか-の展示ででした。

永久凍土から発掘された古生物が冷凍標本になって展示されるというので、古生物好きの友だちに誘われて、「マンモス!見てみたいなあ。」ぐらいの軽い気持ちで見に行ったのです。展示はとてもおもしろくて、迫力のある冷凍標本に目を見張りました。

古生物やマンモスに関係する展示の後に、近畿大学の「マンモス復活プロジェクト」に関するコーナーがありました。そこで初めて、絶滅した生き物を復活させる研究をしている科学者の方々がいることを知りました。

世界中が注目! マンモスの細胞は、生きていた!

(そんな、映画の『ジュラシック・パーク』みたいなことが、本当にできるの?)
と、思いながら展示を見ました。

すると、そのプロジェクトが、100年単位で考える壮大なスケールであること。さまざまな分野の専門家が知恵を出し合い、協力し合って行ってきたことを知り、驚きました。

細胞のサンプルを入手するため、マンモスの発掘をしに、ロシア北方のサハ共和国に探査の旅に行くところから始まり、奇跡的な良いサンプルの入手、くり返される実験、そして今回出た成果……二万八千年前に死んだはずのマンモスの細胞が生きていた、その研究をまとめた論文は世界中から注目されました。 

息もつかせぬドラマに、ドキドキワクワクが止まらなくなりました。

2002年、サハ共和国でのマンモス発掘の様子。永久凍土を川の水でとかしながら、堀り進めていきます。写真提供/近畿大学

もともと子どものころ、生命の不思議を追究する読み物や映像作品が大好きで、そのころの気持ちが、胸いっぱいにあふれた感じです。

今回の成果で、すぐにマンモスは復活するわけではありませんが、未来への大きな一歩になったことを考えると、この研究のことを、多くの子どもに知ってもらいたい。児童書にしてたくさんの読者に読んでもらいたい!と思いました。

技術の進歩にワクワク。一方で、考えないといけないことも。

この本を通して、伝えたいことはたくさんあります。

生命の謎が解明されていくワクワク感。科学の技術の進歩とともに、広がる未来の可能性と、立ちどまって考えなくてはいけないこと。

また研究者の先生方がどんな毎日を送っていて、どんな風に研究をすすめているのかという、「お仕事としてのおもしろさ」。

このプロジェクトに取り組む、先生方の熱い思いと格闘する毎日が、リアルに読者のみなさんに届くようにと、再現ドラマ的な書き方をしました。イラストレーター深川直美さんによる楽しいさし絵や、発掘されたマンモスのカラー写真、「永久凍土」や「ゲノム編集」などを解説した科学コラムもみどころです。

生命の不思議に取り組む「科学する心」が、読者のみなさんに楽しく届けば幸いです。

『よみがえれ、マンモス! 近畿大学マンモス復活プロジェクト』

令丈ヒロ子/文  深川直美/絵

もしも、絶滅した生き物をよみがえらせることができるとしたら?

マンモスから採取した細胞核をもとに、マンモスを復活させられるのでは?
――20年前から近畿大学が取り組んできた「マンモス復活プロジェクト」を「若おかみは小学生!」の著者、令丈ヒロ子氏が徹底取材。

それぞれの専門を生かし、得られた研究結果を次の研究者へとバトンのようにつないで、ついに世界を驚かせる論文を発表したプロジェクトチームの熱い日々を描く、本当にあった物語。

<すべての漢字にふりがなつき。小学校上級・中学生から>
ISBN978-4-06-526115-6
定価1400円(税別)

著者について

●令丈ヒロ子(れいじょう・ひろこ)
児童文学作家。大阪府生まれ。嵯峨美術短期大学卒業。講談社児童文学新人賞に応募した作品で注目され、作家デビュー。おもな作品に「若おかみは小学生!」シリーズ、『異能力フレンズ(全3巻)』『パンプキン! 模擬原爆の夏』『長浜高校水族館部!』『よみがえれ、マンモス! 近畿大学マンモス復活プロジェクト』(以上、講談社)、『妖怪コンビニで、バイトはじめました。』(あすなろ書房)、『クルミ先生とまちがえたくないわたし』(ポプラ社)などがある。「若おかみは小学生!」シリーズは、テレビアニメ化、劇場版アニメ化され、好評を博す。

れいじょう ひろこ

令丈 ヒロ子

Hiroko Reijo
作家

児童文学作家。大阪府生まれ。嵯峨美術短期大学卒業。講談社児童文学新人賞に応募した作品で注目され、作家デビュー。おもな作品に「若おかみは...

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