日本にもコブラがいる! その名は『ハイ』!! <後編>

しっぽは真っ赤で、先っぽがカタくとがっている。これが実は……!
<武器は毒牙じゃなくてしっぽ?>

ハイもコブラ科なのだから当然、毒を持っている。……と言われている。
しかし、ハイはものすごくおとなしくてなかなかかみついてこない上に口も小さい。そのため、これまでハイに咬まれて毒にあたったという人は一人も知られていないのだ。
おなかはうすい黄色で黒いまだら模様。とてもおとなしいヘビで、めったにかみつかない(※でも毒ヘビだからね!絶対マネしないように!)
じゃあ敵につかまったらどうするのよ!そんなことでどうするのよ!
……気になったので実現してみた。

路上に出ていたハイをやさしくつかみ上げる。すると怒っているのか怖がっているのか、指にしっぽを巻きつけてきた。しかし、かみつきはしない。口を開きもしないし、それどころか顔はそっぽを向いている。
……えぇ~、なんだおまえ……。せっかく毒持ってるのにおとなしすぎるだろ……。
しかし、次の瞬間!指にチクチクと何かが当たるのを感じた!
しっぽの先っちょでチクチクつつく!これこそが日本のコブラ、ハイの必殺技!かわいいなオイ!
……しっぽの先で指をプスプスつついている。
これがハイにとっては必死の攻撃なのだ。……正直言ってぜんぜん痛くないです。

毒のあるキバ持ってるんだろ!?
コブラなんだろ!?
それ使おうよ!

そう思ってしまいがちだが、きっとハイの毒はあくまでエサであるトカゲやメクラヘビを捕まえるためのもので、外敵から身を守るために使うことは想定されていないのかもしれない。
沖縄にもともといるハイの天敵といえば、アカマタやフクロウの一種のリュウキュウコノハズクくらいのものだろう。
ハイの天敵であろうアカマタ。大型のヘビでウロコも丈夫。ネズミやカエルだけでなくほかのヘビも食べる食いしん坊だ。
アカマタのウロコはとても頑丈だし、リュウキュウコノハズクの体はフカフカでぶあつい羽毛におおわれている。
きっとそうした敵にはハイの小さな口とキバなんかでは、かみついて毒を注入することなんてとてもできないのだろう。だから、そのかわりにかたくてとがったしっぽを使った攻撃を身につけたのかもしれない。人間にとってはたいしたことないように感じるが、ヘビや鳥にとってはめちゃくちゃ痛いのかもしれない。
奄美大島にいるハイの亜種、『ヒャン』。ほかにも久米島には『クメジマハイ』という亜種がいる。どちらも沖縄本島のハイとは少し模様がちがう。(写真提供:伊藤健史)
とはいえハイがコブラであること、毒ヘビであることは事実。
だからよい子は沖縄でオレンジ色のヘビに出会っても甘く見て素手でつかんだりしないように!万が一のことがあっても知らないよ!
みんなわかった!? ほら返事は!?
……そうだね。『ハイ!』だね。