世界一大きなゴキブリはパワフルで家族想い!?

モンスターハンター平坂寛の「びっくり生きもの烈伝」ゴキブリ②

生物ライター:平坂 寛

台所にいるあのゴキブリとは全然違う!? ヨロイモグラゴキブリの習性とは

世界一大きなゴキブリ!「ヨロイモグラゴキブリ」を探すべく、前回の記事では”巣”らしきものを発見!
巨大ゴキブリのうんこの下を掘るとナゾのトンネルが!げんこつくらいすっぽり入るぞ。
掘ることおよそ10分間。深さ50センチほどのところで何かが動いた。
指をつっこんでさわってみると……カタい!まるでカブトムシのような手ざわりだ。
つまんで引きずり出そうとすると、指先をグイッと押しのけられる。めちゃくちゃ力が強いぞ!なんだこいつ!?
出た!これがヨロイモグラゴキブリだ!! 
台所で見かけるあのゴキブリにはあまり似ていない。キモチ悪さもぜんぜん感じなかった。むしろかっこいい。

ズルッ! ガサガサッ! と音を立ててトンネルの奥から出てきたのは…でっかいカブトムシ? …じゃなくてダンゴムシ?

いいや! これがヨロイモグラゴキブリだ! 大きすぎる。大きさは8センチほどだが、ゴキブリとは思えないほど体がぶあつく、重い。ついでにガッチガチにカタい。甲虫みたいだ。

なるほど!ヨロイを着たようにカチカチで、モグラのように穴を掘るからヨロイモグラゴキブリか!

家族でくらすゴキブリ!?

ヨロイモグラゴキブリはとてもおもしろい習性をいくつも持っている。

まず穴をほってくらすというのも台所にいるあのゴキブリたちとはぜんぜんちがうよね。昼間はトンネルの奥にひそみ、夜になると地上へ出てエサを集める。主食はユーカリの落ち葉で、他にも雑草やくさった木の実などいろいろなものを巣穴に持ち帰って食べている。巣穴の周りに落ち葉がなかったのはこういうワケだ。

エサを地上から巣へ持ち帰るあたりはモグラというよりアリみたいだね。
ヨロイモグラゴキブリは子育てをすることでも知られる。
捕まえると子どもたちはみんな親のそばに集まる。かわいい!

アリみたいといえば、このゴキブリは親子で同じトンネルに住む。親が子を守って育てるのだ。
あるていど大きくなってくると、子どもたちは親の元をはなれて自分の巣穴を持つようになる。そして何年もかけて成虫になり、結婚相手を探してまた子どもを育てる。昆虫としてはとても長生きで、10年近く飼われた記録もあるそうだ。
穴をほるために脚はケラやフンコロガシのように太くみじかく、むねはブルドーザーのように反ってかたくなっている。
そして何よりの特徴はそのパワー! 乾季にはコンクリートのようにかたくなるオーストラリアの大地を掘り進めるだけあって、そのうでっぷしの強さは昆虫とは思えないほど。トンネルの中では捕まえてもガッツリふんばって出てこないし、それどころかその場で新しい穴をゴリゴリ掘って逃げる始末。

写真を撮ろうと手でつかめば、グイグイと指の間を広げて脱出する。

なんだこのゴキブリ! でかい上に強くて家族思いとか! カッコよすぎ!  大好き!!
手でつかんでも、無理やり指をこじ開けて脱出される。こんなにパワフルな昆虫っている!?
世界一大きなゴキブリはほかにもいるよ

実は「世界でいちばん大きい」とされるゴキブリはいくつかある。体の長さではアフリカのマダガスカル島にいるものがヨロイモグラゴキブリをわずかに上回るし、翅の長さも計算に入れるなら南米の森に住んでいる種も候補に入る。

しかし、体重という点ではこのヨロイモグラゴキブリがぶっちぎり。
もちろんパワーも。彼らこそゴキブリ界の横綱なのだ。

恐竜よりも古くから生息! ゴキブリのふしぎな生態を調べてみよう!

ひらさか ひろし

平坂 寛

Hiroshi Hirasaka
生物ライター/YouTuber

1985年9月10日生まれ。長崎県長崎市出身。筑波大学大学院生命環境科学研究科博士前期課程修了後、生物ライター、生物ハンターとして活動。公益財団法人黒潮生物研究所 客員研究員を務める。 講談社の動く図鑑MOVEでは「モンスターハンター平坂寛のびっくり!生きもの烈伝」連載中。 危険生物との過激なチャレンジが大人気! YouTubeはチャンネル登録者数約80万人!(2024年現在)

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1985年9月10日生まれ。長崎県長崎市出身。筑波大学大学院生命環境科学研究科博士前期課程修了後、生物ライター、生物ハンターとして活動。公益財団法人黒潮生物研究所 客員研究員を務める。 講談社の動く図鑑MOVEでは「モンスターハンター平坂寛のびっくり!生きもの烈伝」連載中。 危険生物との過激なチャレンジが大人気! YouTubeはチャンネル登録者数約80万人!(2024年現在)