ニース&モナコ取材旅行記 ~オーシャンズ2の冒険~ 第5回
はやみねかおる先生と担当編集が行く珍道中の旅!
2024.11.06
第5回
“ロスチャイルドさんの家”見学からの続き~
その後、カフェに入り、カフェラテを飲む。
カフェラテというものを初めて目にしたのだが、飲み方がわからない。泡立っていて、飲み物というよりアイスクリームのような感じ。スプーンですくい、小袋の砂糖を振りかけて食べたのだが、あれで良かったのだろうか……?
カフェラテを楽しみながら、垂水さんの書く小説の話を聞く。
熱意あふれる話を聞いて、若さが羨ましくなり、早く日本に帰って原稿を書きたくなる(日本に帰ったら、不思議なことに、その気持ちは消えてしまった……。あのときは、「気の迷い」というやつなのだろう)。
よく考えたら、ぼくは垂水さんが生まれる前から作家をやってることに気づく。思わず、遠い目になってしまった。
その後は、旧市街のマセナ高校や裁判所の建物を見る。
「もし、震度3の揺れが来たら、このへんは壊滅します」
「………」
これからも、地震が起きないことを願う。
マセナ広場には、七大陸を表すモニュメントがあった。高い柱の上に、人物像が置かれている。膝を抱えている像や、正座している像――。
この人物像が、大陸一つ一つを表してるそうだが、どれがどの大陸を表してるかは不明。何より、どうしてこの人物像が七大陸を表してるのかも不明。
⇒スペイン出身のジャウメ・プレンサさんという世界的アーティストがつくった作品。夜はライトアップして、刻々と色が変わってました。
広場の横を、トラムという路面電車が走っている。車の通行量も多い。
でも、ほとんどの人は、歩行者用信号が赤でも平気で横断している。それはもう、すがすがしいほど、信号を無視している。車も、スピードを落とすことなく、走っていく。
歩行者にしたら、
「車が来てないんだ。赤でも渡っていいじゃねぇか」
という感じだし、車の運転手からしたら、
「こっちの信号は青なんだ。赤で渡るほうが悪い」
という感じで、なかなかスリリングだ。でも、感心したのは、信号の無い横断歩道。
歩行者が、信号のない横断歩道にいたら、車は、必ず停止して歩行者を優先させていた。ニース以外でも注意して見ていたのだが、信号のない横断歩道では、どこの地域でも自動車は止まっていた。日本では、ほとんど見られない光景だ。
「マナーがあれば、ルールは不要」という言葉を思い出した。
あと、近くにある高級ホテルも見学。(ホテルの名前は、カタカナで書くような名前だったいうこと以外、1文字も記憶に残ってません)。
〈解説〉
⇒「ホテル・ネグレスコ」。1913年に開業した、ニースを代表する5つ星ホテル。
中に入ると、いろいろキラキラしていて、高級感はあるんだろうけど、ぼくらの泊まってるホテルと差がないようにも思える(※ぜんぜん違います)。
ロビーには、「からくりサーカス」のオートマタを思わせるようなオブジェ。それから、日本の風神像を真似したとしか思えないような人形。
夕方になり、いったん垂水さんと別れ、いったんホテルに戻る。荷物整理してから、山室さんと「ボカッチオ」というレストランに向かう。
夜になっても、人通りは多い。祭りや夜店をやってるような賑わいだ。
垂水さんとレストランで合流し、食事。ぼくはメニューを見せられてもわからないので、全てお任せ。こういうとき、好き嫌いなく何でも食べられるので、便利だ。
山室さんと垂水さんが相談して、メニューを決める。ワインも頼んで、テイスティングは山室さん。
ところで、ワインのテイスティングというものを、ご存知だろうか? 注文したワインが、注文どおりのものか、劣化していないか、調べるために行われる儀式だ。ソムリエが、持ってきたワインの栓を抜き、グラスに少しだけ注ぐ。それを口に含み、満足そうに頷きテイスティング終了。
こういうのだけど、なかなか緊張する儀式だ。
しかし、山室さんは慣れた手つきでグラスを持ち、ワインを口に含む。そして、フランス語で何か言ってから、うなずいた。ぼくは、その動きをビデオカメラモードで見て、記憶する。いつか、自分がテイスティングするために――。
注文した料理は、貝やらエビやらがクラッシュアイスの上に盛った奴と、貝とご飯を煮たもの。カタカナの名前がわからないので、貝の舟盛りと、炊き込みご飯だと思えば、まず間違っていないだろう。
〈解説〉
⇒「フリュイ・ド・メール(海の幸の盛り合わせ)」と「パエリア」です。
エビを殻ごと食べ、貝殻にへばりついた貝柱をナイフでこそげ落とし、もぎゅもぎゅと食べる。地中海の魚介類は、美味しゅうございました。(ただ、地元の魚介類に比べると、サイズが小さい……)
垂水さんと別れ、山室さんとホテルへ戻る。
途中、モノプリという、フランスでは有名なスーパーマーケットを教えてもらう。
「ワインが安いんですよ。あと、ここはカップヌードルも売ってます」
さすが、敏腕編集者の山室さん。すでに下見を済ませている。カップヌードルは、スキヤキ味とテリヤキ味を売っていた。話のネタに食べてみようかと思ったが、お腹がいっぱいなのであきらめる。
ワインも売っていたが、普段ワインを飲まないので、安いかどうかがわからなかった。
部屋に戻り、昨日できなかったWi-Fi接続に挑戦。結果、iPadの接続成功!
iPhone、つながらず……。なぜだ! 考えてもわからないことは、考えないほうが、安らかに眠れる。というわけで、11時には寝る。
日本時間だと、翌朝の6時。すでに、ぱたぱたと活動している時間だ。そんなことを考えていたためか、夜中の2時に目が覚めた。このままでは体力が続かないと思い、必死で5時まで眠る。必死で眠ろうとしたため、かえって疲れたような気がした。
26日のヘルスケア
ウォーキング+ランニングの距離 12.9km
歩数 2万1669歩
はやみね かおる
1964年、三重県に生まれる。三重大学教育学部を卒業後、小学校の教師となり、クラスの本ぎらいの子どもたちを夢中にさせる本をさがすうちに、みずから書きはじめる。「怪盗道化師」で第30回講談社児童文学新人賞に入選。 「名探偵夢水清志郎事件ノート」「怪盗クイーン」「都会のトム&ソーヤ」「少年名探偵虹北恭助の冒険」などのシリーズのほか、『バイバイ スクール』『オタカラウォーズ』『ぼくと未来屋の夏』『令夢の世界はスリップする』(以上、すべて講談社)『モナミシリーズ』(角川つばさ文庫)『奇譚ルーム』(朝日新聞出版)などの作品がある。 子ども自身が選ぶ、うつのみやこども賞を4回受賞。漫画版「名探偵夢水清志郎事件ノート」(原作/はやみねかおる、漫画/えぬえけい 講談社)で第33回講談社漫画賞(児童部門)受賞。第61回野間児童文芸賞特別賞受賞。
1964年、三重県に生まれる。三重大学教育学部を卒業後、小学校の教師となり、クラスの本ぎらいの子どもたちを夢中にさせる本をさがすうちに、みずから書きはじめる。「怪盗道化師」で第30回講談社児童文学新人賞に入選。 「名探偵夢水清志郎事件ノート」「怪盗クイーン」「都会のトム&ソーヤ」「少年名探偵虹北恭助の冒険」などのシリーズのほか、『バイバイ スクール』『オタカラウォーズ』『ぼくと未来屋の夏』『令夢の世界はスリップする』(以上、すべて講談社)『モナミシリーズ』(角川つばさ文庫)『奇譚ルーム』(朝日新聞出版)などの作品がある。 子ども自身が選ぶ、うつのみやこども賞を4回受賞。漫画版「名探偵夢水清志郎事件ノート」(原作/はやみねかおる、漫画/えぬえけい 講談社)で第33回講談社漫画賞(児童部門)受賞。第61回野間児童文芸賞特別賞受賞。