【第21回】この夏だけの特別企画！　「黒魔女チョコの　魔界で!?修行日記」スペシャル連載

「タヌキ汁の呪い」

2025.08.22

「サバトって、いってるんだ」

あ、そのほうがすじが通っているよ。ギューナさんは、高等女司祭として、今夜のサバトのことを心配しているんだよ。

「だけど、どうして、はっきりサバトっていわないんだよ」

ギュービッド、口をとがらせてる。たしかに、それはふしぎ。なぜ、最後のトをいわないんだろ？

すると、クランプスさんのひとりが、ぽつり。

「タヌキ汁を飲まされているんだ」

は？　

「タヌキ汁を飲むと、タの音がいえなくなるんだ。『タ抜き』だけに」

がくっ。そんなおそろしいすがたで、オヤジギャグをいわれると、どう反応していいのかわからない……。

っていうか、タがいえなくても、サバトはいえるでしょ。

「タはタ行のことだ！」

そう来ましたか。魔界のギャグはこんなのばっかり……。

「ギャグじゃない。タヌキ汁はおそろしいものなんだ。おまえ、カチカチ山という昔話を知ってるか？」
　
そりゃあ、もちろん。

「あの話も、タヌキをつかまえて、タヌキ汁にしようとしたところから、逆にタヌキにおばあさんが殺されるという悲劇がおきている」

悲劇って……。まあ、いわれてみれば、たしかに殺人事件……。

「スピカさまの悲劇も同じなのだ」

「スピカさまは吟遊死人にタヌキ汁の呪いをかけられたんだ」

「タ行がいえなくなれば、サバトを仕切ることもできなくなるからな」

「吟遊死人もトスカも、ぜったいにゆるせない！」

クランプスさんたち、ノコギリみたいな歯をむきだしにして、怒りだした。