クリスマスプレゼントにおすすめの“小学生向け絵本”3選[子どもの本専門店・店長が選出]

子どもの本のプロが選ぶギフト絵本 #7~小学生へのクリスマスプレゼント~ (3/4) 1ページ目に戻る

ブックハウスカフェ店長:茅野 由紀

クリスマス前夜に体験する不思議な汽車の旅

次にご紹介するのは、クリス・ヴァン・オールズバーグによるロングセラー絵本『急行「北極号」』(あすなろ書房)。

1986年にアメリカの権威ある児童書の賞のひとつ、コルデコット賞を受賞。日本では村上春樹さんが翻訳を手がけて1987年に出版され、2003年に現在の改訂版が出版されました。2004年には『ポーラー・エクスプレス』というタイトルで、トム・ハンクス主演の映画にもなったほどの名作です。

改訂版が発売された当時、オールズバーグの作品は一世を風靡し大人気でしたが、時を経ても色あせることなく、今でもギフトとして購入されるお客様がたくさんいらっしゃいます。「ブームだから」ではなく、「いいものをいい」として選んでくださることがうれしいですね。

『急行「北極号」』(絵・文:C・V・オールズバーグ、訳:村上春樹/あすなろ書房)
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物語はクリスマスの前夜、サンタクロースを待つ少年のもとに不思議な汽車があらわれるところから始まります。汽車の名は、急行「北極号」。主人公の「ぼく」と大勢の子どもたちが乗った汽車は、森を抜け山を越えて、北へ北へと向かいます。

そうしてたどり着いた目的地・北極点の町で待っていたのは、サンタクロースと何百という数の小人たち──。

現実の世界から始まり、ゆっくりと壮大で荘厳なファンタジーの世界へ導き、またふと現実世界に戻る。いわゆる“行きて帰りし物語”の描き方が、実にお見事! 読み手の子どもたちを夢中にして、物語の世界へ連れていってくれます。光と影を巧みに描いたオールズバーグの絵は、幻想的でストーリーにぴったりです。

この出来事は“すべて夢だった”とも読めますし、絵本の中ではサンタがいるとも、いないとも描かれていません。小学生にもなると、周りのお友達から「サンタなんていないよ」などと、ささやかれることもありますよね。

「サンタさんっているのかな? いないのかな? でも、いるって信じたいな」。そんなふうに気持ちが揺れている子には、「いるって信じてもいいんだよ」と安心感を与えられますし、「いないよ」と言う子にもぜひ読んでいただきたい絵本です。

主人公がサンタからもらった銀の鈴、あの音がずっと聞こえる子でいてほしい──。そんな想いも込めて、クリスマスに贈ってはいかがでしょうか。

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