中学生・高校生が共感する! おすすめ人気ミステリー小説&作家の読まれ方・選び方

出版ジャーナリスト・飯田一史この本おススメ! 第12回 「中・高校生向けのミステリー小説」 (3/4) 1ページ目に戻る

出版ジャーナリスト:飯田 一史

『かがみの孤城』著:辻村深月

雨穴作品の次に中高生に人気のミステリーは『名探偵コナン』小説版なのですが(特に中学生から支持が厚い)、前回紹介したので割愛させていただくとして、その次は辻村深月『かがみの孤城』です。こちらは「このミステリーがすごい! 2018」で、国内ランキング8位になっています。

『かがみの孤城』著:辻村深月(ポプラ社)


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不登校の子どもたち7人が、ふしぎな城に集められ、解けば願いが叶うという謎に挑み、家族や仲間と衝突しながらも、一歩踏み出すまでを描いた感動的な一冊。また、城にある謎以上に、登場人物たちが当初は見せていなかった部分を徐々に見せていくことで、それぞれのキャラクターの内面に関わるエピソードが重要な作品です。

これも「ミステリーなの? ヒューマンドラマでは?」と思う方もいるでしょうが、辻村深月さんはミステリーの新人賞「メフィスト賞」の出身で、デビュー作は『冷たい校舎の時は止まる』という、ファンタジー要素のある学園ミステリー(『かがみの孤城』にも通じる部分がありますね)。

ミステリーといっても、どんな謎なのか、どんなふうに謎を解くのか自体よりも、事件や謎解きにかかわる人たちの行動や、考えが読み手の胸を打つことのほうに、若い読み手はより価値を感じると思います。

『告白』『母性』著:湊かなえ

女子に特に人気が高いのが、湊かなえの『告白』です。高校生女子は『母性』もよく読んでいます。

『告白』著:湊かなえ(双葉社)
『母性』著:湊かなえ(新潮社)

湊作品では、たとえ普段思っていたとしても人の口からはなかなか聞くことがないような剝き出しの言葉がズケズケ、ズバズバ書かれているのがすごいですよね(これは辻村さんの作品もそうですね)。

思春期になると大人の言うキレイごと、建て前、学校空間における茶番めいたお作法の要求にうんざり、イライラするものです。湊作品はそういう虚飾をぶっ壊すような言葉が視点人物たちの一人称で語られます。だから噓偽りのない本当の気持ちが読み手に対して直接語られているような感覚になります。

『告白』は、教師と生徒の話であり、母と娘の話でもあり、『母性』も母と娘の話ですが、中高生女子の、友だちにも家族にも言いにくい悩みや真情が描き込まれていることが熱い支持につながっているのではないでしょうか。

『マスカレード』シリーズ、『探偵ガリレオ』シリーズ 著:東野圭吾

全世代に人気ではありますが、東野圭吾作品も中高生、とくに高校生が支持しています。数あるシリーズのなかでは、『マスカレード』シリーズと『探偵ガリレオ』シリーズが同じくらいの人気で2トップ。

『マスカレード・ホテル』著:東野圭吾(集英社)



『探偵ガリレオ』著:東野圭吾(文春文庫)

小学校高学年くらいになると、謎を自分で「解く」楽しさから、探偵役によって「解かれる」ことで意外性を楽しむようになっていきます。

読者が自分では解くのがむずかしくなるくらい謎が複雑になり、物語も謎解き自体にくわえて、他の要素がミックスされるようになります。読者がミステリーに求めるものも、シンプルなものから複合的になり、細分化していきます。

その次がやはり同じくらいの人気で『加賀恭一郎』シリーズ、『ラプラスの魔女』シリーズが3位、4位、さらに空いて『クスノキの番人』シリーズが5番目です。

東野作品は終盤にたたみかけるようにして泣かせる展開を用意していることが多いですが、その悲痛さは10代の心も摑んでいます。

『卒業』 著:東野 圭吾(講談社文庫)

中・高校生の男子と女子それぞれに人気の作品は?

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