中学生・高校生が共感する! おすすめ人気ミステリー小説&作家の読まれ方・選び方

出版ジャーナリスト・飯田一史この本おススメ! 第12回 「中・高校生向けのミステリー小説」 (4/4) 1ページ目に戻る

出版ジャーナリスト:飯田 一史

中・高校生の男子と女子それぞれに人気の作品は?

最後は中・高校生の男子と女子、それぞれに特に人気の作品を紹介して終わりにしたいと思います。

中学生に人気の近作としては結城真一郎『#真相をお話しします』、青柳碧人『赤ずきん』シリーズがあります。

『#真相をお話しします』著:結城真一郎(新潮文庫)
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『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』著:青柳碧人(双葉社)

前者はミステリーながらギョッとするような人間の怖さ、後者は童話をパロディにした笑いが魅力の作品ですね。高校生に人気のタイトルとしては、知念実希人『天久鷹央』シリーズ、米澤穂信『古典部』シリーズがあります。

『天久鷹央の推理カルテ〔完全版〕』著:知念実希人(実業之日本社文庫)


『氷菓』著:米澤穂信(角川文庫)

前者は毒舌で傲慢な主人公の探偵役・天久の意外な弱さが垣間見えるシリアスなエピソードや、患者との悲痛な死別。後者はいわゆる「日常の謎」に、思春期らしい心の叫び、青春の苦みが描かれている点が高校生に特に響くのではないでしょうか。ちなみに『古典部』シリーズは、圧倒的に男子に人気です。

逆に女子から絶大なる支持を得ているのが日向夏『薬屋のひとりごと』ですね。中華風の宮中を舞台に起こる事件を、薬マニアの女性主人公・猫猫が解いていく作品です。

女性同士のギスギス、女の生きづらさ、クセ強で食えないキャラの数々など、語り出したらキリがない魅力が詰まっています。

『薬屋のひとりごと』著:日向夏/イラスト:しのとうこ(主婦の友社)

以上、中高生に人気のミステリーを紹介してきましたが、大人向けの各種ミステリーランキングやミステリーの賞の評価軸とは、必ずしも重ならないポイントで作品を選んでいると言えるでしょう。

センシティブな、揺れ動く「気持ち」に訴え、モヤモヤを抱えているけれども吐き出せない「悩み」「本音」「想い」を描いてくれることを、ミステリーに対しても重視しています。

もっとも高校生にもなると、一人ひとり好みが細分化して「合う/合わない」も激しくなるため、ピッタリくるものを見つけるのは難しいのですが、作品探しやオススメの参考にしてみてください。

文/飯田一史


【好評連載】出版ジャーナリスト・飯田一史のこの本おススメ! 過去記事はこちら

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飯田 一史
いいだ いちし

飯田 一史

Ichishi Iida
出版ジャーナリスト・ライター

青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)。 出版社にてカルチャー誌や小説の編集に携わったのち、独立。国内外の出版産業、読書、子どもの本、マンガ、ウェブカルチャー等について取材、調査、執筆している。 JPIC読書アドバイザー養成講座講師。 電子出版制作・流通協議会 「電流協アワード」選考委員。インプレス総研『電子書籍ビジネス調査報告書』共著者。 主な著書に 『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』 『「若者の読書離れ」というウソ』 (平凡社)『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』(星海社)『ウェブ小説30年史』(講談社)ほか。 ichiiida.theletter.jp

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青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)。 出版社にてカルチャー誌や小説の編集に携わったのち、独立。国内外の出版産業、読書、子どもの本、マンガ、ウェブカルチャー等について取材、調査、執筆している。 JPIC読書アドバイザー養成講座講師。 電子出版制作・流通協議会 「電流協アワード」選考委員。インプレス総研『電子書籍ビジネス調査報告書』共著者。 主な著書に 『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』 『「若者の読書離れ」というウソ』 (平凡社)『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』(星海社)『ウェブ小説30年史』(講談社)ほか。 ichiiida.theletter.jp