【赤ちゃんの洗濯物】「大人の衣類と分けて洗う」「赤ちゃん用洗剤を使う」は本当に必要?〔小児科医が解説〕

#13 令和の「子どもホームケア」~赤ちゃんの洗濯物~ (2/3) 1ページ目に戻る

小児科専門医:森戸 やすみ

よく「赤ちゃんの衣類は大人のものと分けて洗濯したほうがいい」と言われますが、実ははっきりとした科学的な根拠があるわけではありません。

たしかに赤ちゃんの肌は、とてもデリケート。大人の肌に比べて角質層が薄く、水分保持力やバリア機能も弱いので刺激を受けやすい状態です。そのため、洗剤や蛍光増白剤(衣類をより白く見せる染料の一種)、漂白剤、香料などが赤ちゃんの衣類に残っていると、湿疹(しっしん)やかぶれの原因になることがあります。

ただ、裏をかえせば、蛍光増白剤などが含まれていない洗剤を使ったり、洗剤が衣類に残らないよう十分にすすいだりさえすれば、そうした肌トラブルは起きにくいということ。「洗剤がアトピー性皮膚炎を引き起こす」というエビデンスもありません。

英国国民保健サービス(NHS)のWebサイトでは、「酵素入りの洗剤や柔軟剤を使用しても、赤ちゃんの肌が刺激されるという証拠はない」としています(※1)。

また、アメリカ小児科学会(AAP)の保護者向けWebサイトでは、「赤ちゃんの衣類を大人のものとは別で洗い、赤ちゃん用の洗剤で洗うことが一般的な推奨事項ではあるものの、実際には多くの家庭で問題なく、大人のものと一緒に洗っていることがわかっている」としています(※2)。

アトピー性皮膚炎や敏感肌の赤ちゃんの場合、また、皮膚に炎症があるときは、念入りにすすぐという意味で、大人のものと分けて洗ったほうが安心ではあります。でも、肌トラブルのない赤ちゃんなら、分けて洗う必要はないでしょう。新生児の時期でも同じです。

子育ての現場には、科学的根拠も示さないで「お母さんは◯◯するべき」「◯◯したほうがいい」などと言う人がいますが、「◯◯しなくても大丈夫」という話は少ないですね。

小さな赤ちゃんのいる親御さんは、ただでさえやることが多くて休む時間もないのですから、“念のため”程度のことはやらなくてよいこともあるのです。

もちろん、分けたい人は分けて、大事に洗いたい人は手洗いしてもよいのですが、なるべく心身の負担を減らして子育て中のメンタルヘルスを保っていただきたいなと思います。

重要なのは【すすぎ】を徹底すること

先ほどお話ししたとおり、赤ちゃんの衣類の洗濯で重要なのは、しっかりすすぐこと。洗剤残りが心配なら、すすぎは2回以上行うといいですね。洗濯機の標準コースは通常すすぎ2回に設定されていて、機種にもよりますが、好みの回数に変更できます。

市販の「赤ちゃん用洗剤」で洗っているご家庭も多いと思います。「赤ちゃん用洗剤」と称する商品の多くは、蛍光増白剤や漂白剤、香料などを含まず、すすいだ後に洗剤が衣類に残りにくいのが特徴です。

「赤ちゃん用洗剤」のほうがより安心ではありますが、一般的な家庭用洗剤でも使用量を守り、十分にすすげば大丈夫。柔軟剤も同様です。市販の洗剤は、発売前に安全性の確認が行われています。もし心配なら赤ちゃん用のもの、低刺激性・無香料のものを使う程度で、科学的根拠がない以上はさほど気にしなくてもよいでしょう。

ただし、アトピー性皮膚炎や敏感肌の赤ちゃん、皮膚に炎症があるときは別です。アメリカ小児科学会(AAP)の保護者向けWebサイトでも、赤ちゃんが肌トラブルの兆候を示す場合は「赤ちゃん用洗剤」か、低刺激性・無香料の洗剤で洗うことを推奨しています(※2)。柔軟剤を使う場合も「赤ちゃん用柔軟剤」や無添加のもの、低刺激性・無香料のものがいいですね。

「赤ちゃん用洗剤」や低刺激性の洗剤は、一般的な洗剤と比べて洗浄力が弱いため、大人や上のきょうだいの衣類汚れがしっかりと落ちるのか気になりますね。汗や皮脂、水性の汚れなら通常は落ちるはずですが、例えば、仕事などで化学物質や油が付着しやすい衣類は、洗浄効果の高い一般的な家庭用洗剤で洗ったほうがいいかもしれません。

頻繁に洗う赤ちゃんの衣類ではなく、汚れが落ちにくい衣類を分けたほうが洗濯の回数を減らせ、親御さんの負担も軽くなるのではないでしょうか。

吐き戻し・うんち汚れには「漂白剤」

19 件