私さえ我慢すれば…
次第に学校を休む日が増え、リビングにも姿を現さなくなっていった姉。母は、そんな姉のことで頭がいっぱいのようで、何か思い悩んでは、ため息をつくことが増えていきました。
ある日、リビングにいた私に母が「あなたは本当に手がかからなくて助かるわ」と声を掛けてきました。毎日、姉のことで心をすり減らしているように見える母。元気そうな私の姿に、ちょっとホッとしたのかもしれません。でも私は、静かに頷くことしかできませんでした。
本当はそのころ、私は学校の友だち関係で悩んでいました。でも「あなたは手がかからなくて助かる」と母から言われてしまったことで、話を切り出すタイミングを失ってしまったのです。
不登校になった姉に比べれば、私の悩みなんてちっぽけなもの。娘の不登校に心を痛めている父や母に、私のことでこれ以上心配をかけてはいけない。徐々に、私は自分の気持ちにフタをするようになったのです。
「最近学校はどう?」と聞かれても、「大丈夫!」と笑顔でこたえる。母に何かお願いしたいことがあっても「今は、やめておこう」と言葉を飲み込む。気づけば私は、自分の気持ちよりも「家族の空気を読むこと」を優先するようになっていったのです。
お父さんもお母さんもお姉ちゃんのことばっかり…
家族で食卓を囲んでも、話題の中心は決まって姉のことでした。
「今日はご飯を食べられた?」「明日は学校へ行けそう?」──そんな会話が毎日のように続き、私が学校での出来事を話すタイミングは、いつの間にかなくなっていました。
「今日ね、学校でね……」
そう言いかけても、母が姉の部屋へ向かう姿を見ると、「また今度でいいか」と飲み込んでしまうのです。
授業参観や学校行事も、母に「今回はお父さんに行ってもらうね」と言われることがありました。本当は母にも来てほしかった。習い事を始めたいと思ったこともありましたが、姉のことで手いっぱいの母を前にすると、とても言い出せません。
誕生日やクリスマスでさえ、姉の体調や機嫌を気にして予定が変わることもありました。何度も「今は仕方ない」と思おうとしました。姉が悪いわけではないことも、母が必死だったこともわかっていたからです。それでも、「なんで私だけ……」というモヤモヤとした感情は、少しずつ溜まっていったのです。
▶︎悩むわが子に渡したいものは?


































