
「ハチの毒針」はメスだけ? 正体は「別の器官」だった? 国立科学博物館の研究者が明かす意外すぎる「進化の秘密」
特別展『いきもの超ワールド展』監修 井手竜也さんインタビュー #2
2026.09.05
刺されると危険なイメージの強い「ハチ」。ですが、実は私たちの身近な足元や木の葉を覗いてみると、ハチをはじめとする昆虫たちの「驚きの生存戦略」や「知られざるミクロの世界」が広がっています。
ここでは、「夏〜秋のハチの危険対策」について前回の記事でお話を聞いた、国立科学博物館 動物研究部のハチ研究者・井手竜也先生に引き続きインタビュー! 特別展『いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!』で虫パートの監修も担当された井手先生に、ハチの奥深い生態を教えていただきます。
▶︎前回を読む:【ハチ対策】遭遇しても「手で払う」のは逆効果! 科博の研究者が教える「正しい身の守り方」
「毒針を持っているのはメスだけ?」「植物に自分好みの“家”を作らせてしまうハチがいる!?」など、親子の身近な自然観察が何倍にもおもしろくなるハチの不思議、研究者ならではのワクワクする観察のコツが満載。さらに特別展の見どころも詳しく伺いました!

あえて「身近な虫」に注目! 展示物に込められた工夫
長崎県出身。国立科学博物館動物研究部 陸生無脊椎動物研究グループ 研究主幹。九州大学にて博士(理学)を取得後、森林総合研究所などを経て2017年より現職。専門はタマバチ科の分類および生態に関する研究。これまでに国立科学博物館が主催した特別展『昆虫』『毒』『昆虫MANIAC』などの監修に携わっている。著書に『昆虫学者の目のツケドコロ』(ベレ出版)、『ずかん ハチのおしごと』(技術評論社)などがある。
──『いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!』で、井手先生は虫パートを監修されています。今回、どのような点にポイントを置いて展示物を考案されたのでしょうか?
井手竜也先生(以下、井手先生):今回はさまざまな“いきもの”の生き残り術を比較することで、その驚きと面白さに満ちた多様性の世界を体感していただくという企画で、哺乳類や鳥類などと虫が展示物として一緒に並んでいます。
見る側としては、やはり自分と近しいいきものにまず目がいきがちですし、虫は小さいいきものですから、なかなか目に留まりにくい。ですから、私たちの身近にいる虫で、実は面白い特徴が備わっている種を中心に展示するものを選びました。
カブトムシやクワガタムシなど子どもたちに人気の「昆虫」(体が頭・胸・腹に分かれていて脚が6本〈3対〉あるいきもの)のほか、クモやムカデといった標本も出しています。
「いきもの」と聞くと、哺乳類などのイメージがまず思い浮かぶかなと思いますが、実は虫にも面白い生き方をしているものがたくさんいることを知ってもらえたらと思っています。
驚きの小ささ! タマバチの不思議
──特別展では先生の研究対象でもある、植物に卵を産み付けて“虫こぶ”という巣を作る生態をもつタマバチについても、紹介していますね。
井手先生:タマバチは、世界では約1400種、日本では約80種が知られています。多くの種が体長約1~6mmと小さく、実は私たちの身近なところにも生息しているのですが、この小ささゆえ一般の方はほとんど認識できないかなと思います(笑)。
『いきもの超ワールド展』ではマイクロハイメノプテラと総称される微小な寄生バチを3種紹介しており、日本最小級のタマバチ「ナラメフクレフクロタマバチ」も展示していますので、ぜひご覧いただければと思います。ちなみに展示しているハチはまだ大きい方で、世界最小のハチは体長0.139㎜。もう肉眼では見えないレベルです(笑)。
虫たちを見つめていると、こんなに小さいけれど、ほかのいきものと同じように独自の生態や体のつくりを備えていて、ミクロの世界のすごさに気づかされます。
目に見える哺乳類の世界と同じように、私たちには見えないところで虫たちの世界も広がっているのだということを感じ取ってもらえれば嬉しいです。
「世に知られていないハチ」はいる?
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