「受かって当然だろ」高校受験“合格した息子“に夫がかけた冷たい一言〈後編〉

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旅行に行かせないのは私のエゴ?

夏休みが近づくにつれ、受験を意識する場面が増えていきました。SNSを開けば「受験の天王山」「夏を制するものは受験を制する」といった言葉が目に入り、私は気持ちばかりが焦っていきました。

勉強を頑張る息子の姿を見るたびに、私自身も「受験生の親らしく、子どもを支えなければ」と、追い詰められていくような感覚もありました。

そのため、夫が提案してきた夏の家族旅行をどう断るべきか悩んでいましたが、一方で、受験を理由に息子から家族との思い出づくりの機会を奪ってしまうのは、私のエゴかもしれないという思いもありました。

いくら悩んでも結論が出ないので、息子に「旅行、どうする?」と尋ねてみました。最初のうちは「どちらでもいいけど……」と返事を濁していた息子。

しかし、直前に受けた模試の結果が返ってきて、厳しい現実を突きつけられると、息子の顔つきが変わりました。

「やっぱり、いま勉強しないとまずいと思う。今回は旅行やめとく。高校に受かったら、また連れていってよ」

息子自身が、自分の意志で「家族旅行には行かない」と決めたのです。息子からその言葉を聞いた夫は、不満そうでしたが、息子の決断を尊重し、夏休みの家族旅行は中止になりました。

損得よりも息子の「好き」を応援したい!

夏休み、息子は旅行ではなく塾の夏期講習を選びました。そして秋が深まるころ、高校の出願に向けて、志望コースを最終決定する時期がやってきました。

「農業・家畜系のコースに行きたい」

悩んだ結果、自分は「畜産業」の分野に興味があることに気づいたようです。昔から畑仕事や動物のお世話が大好きだった息子。私は「自分の好きなことを思いきりやってほしい」という息子の選択には大賛成でした。

しかし、夫はなんとも渋い表情。「俺はエンジニアの仕事を選んだから今の生活ができてる。今の時代、システムを動かせる人間になったほうが圧倒的に稼げるんじゃない? 違うコースに変えたほうがいいよ」と言い出したのです。

普段はあまり子育てに関わらないのに、いざというときだけは口を出してくる夫。息子の将来を心配してのアドバイスだということは、私にもわかります。でも私は、将来の損得勘定だけで進路を決めてしまうことに抵抗がありました。何より、息子自身が「やりたい」と見つけた道を大事にしたいと思ったのです。

これまで私は、子どもの教育方針について夫に反論することはほとんどありませんでした。しかし、息子自身が真剣に考えて選んだ進路です。今回ばかりは、夫に私の意見を伝えなければいけないと思いました。

「いつもあなたは、子どもの人生は子どものものって言ってるじゃない。それが本心なら、息子の希望を尊重するべきだと思う」すると夫は、「お前が聞いてきたから答えただけだ……」と、それ以上何も言うことはありませんでした。

こうして息子は、志望校合格に向けて、自分で選んだ道に本気で向き合い始めました。もちろん、その後も順風満帆だったわけではありません。思うように成績が伸びず落ち込むこともありましたが、それでも息子は目標を変えることなく、努力を続けていたのです。

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