ここまで投げ出さずに受験勉強をやってきたことを讃えたい
冬が近づくにつれ、家の中の空気も、受験に向けて少しずつ張り詰めていきました。以前なら土日は一日中遊び回っていた子が、遊ぶ時間も惜しんで勉強をしています。
模試の判定は最後まで安定しませんでした。特に苦手な英語は、本番直前まで苦戦が続きました。なかなか上がらない成績を前に「やっぱり、もっと偏差値が低い学校に変えたほうがいいのかな……」と息子は弱音を吐くこともありました。
夫は「受かるかどうかは本人次第だ」「あの程度の高校なら、わざわざ塾に行く必要なんてなかったのに」と冷ややかな態度。けれど、私は結果がどうなろうと、この子がここまで投げ出さずに頑張ってきたこと、そのこと自体に大きな価値があると考えていました。
そして迎えた受験前日の夜。私は息子に「ここまで本当に頑張ったんだから、大丈夫だよ」と声をかけました。息子は「めちゃくちゃ緊張するわ」と言いながらも、どこか、やるべきことはやったという自信をにじませていました。
見事合格! 浮き彫りになった夫婦の価値観とこれから
息子は、第一志望の高校に見事合格しました。
「本当によく頑張ったね!」涙を流して喜ぶ私に、息子は「偏差値47だしさ、そんな大げさだよ」と照れたように笑いました。それでも、その顔には安堵の表情が浮かんでいました。
息子から合格の報告を聞いた夫は、パソコンに目を向けたまま「あの学校なら、受かって当然だろ」と一言だけ。息子の頑張りに対する言葉がなかったことに、正直がっかりしました。
けれど同時に、夫にとってはそれが本音なのだろうとも感じました。夫は結果や数字を重視する人です。一方で私は、そこへたどり着くまでの息子の変化を見ていました。
夫婦としての価値観の違いは、これから先も簡単には埋まらないのかもしれません。それでも今回の受験を通して、私は親として大切なことを改めて考えさせられました。
親にできるのは、子どもの未来を決めることではなく、子どもが自分で選んだ目標を信じて支えることなのかもしれません。
周囲の誘惑を断ち切り、机に向かい続けた息子は、自分の力で未来への扉を開きました。そんな息子の姿を、私は心から誇りに思っています。
文/構成・橘サチ
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