もう一度AIに尋ねてみたら…
放課後、再び担任の先生から電話がありました。息子が自由研究ノートを自分の手で破ってしまったこと、そして、猛省したAくんが泣きながら保護者と一緒に学校へ謝罪に来ているという内容でした。
罪悪感が拭えなかったAくんは、家でもう一度、同じ生成AIツールに質問を投げかけたそうです。
「この自由研究は、AIで作りましたか?」
すると返ってきたのは、「AIで作った可能性があります」という昨日の回答とはまったく違うものでした。
「こちらの文章は、実際に細かく観察された記録である可能性もあります。小学生の自由研究としては非常に優れています」AIはそう答えたのです。
それを聞いたAくんはパニックになりました。AIの答えが毎回同じではないこと。AIの回答がいつも正しいわけではないこと。それに気づいた瞬間、学校で息子が泣きそうな顔でノートを破いた姿が思い浮かび、後悔したといいます。
「そんなつもりじゃなかった。ただ、AIがなんていうのか見たかっただけなんだ……」自分の言葉がどれほど深く友だちを傷つけたのかを知ったAくんは、後日、保護者と一緒にわが家へ謝罪に来てくれました。そして涙を流しながら、息子に「本当にごめん」と頭を下げたのでした。
「AIはあくまでひとつの参考として使うこと」
翌日、先生はクラス全員に向けて、今回の件について話をしてくれました。「AIはとても便利な道具です。でもAIの言うことが、必ず正しいわけではないんですよ」そう前置きしたうえで、こう続けたそうです。
「『AIが言っていたから』という理由だけで、目の前にいる友だちの努力を疑ったり、決めつけたりしてはいけないんです。AIの答えは『証拠』ではなく、あくまでたくさんある意見のひとつ。参考程度にしてください。疑問に思ったときは、本人に直接聞く、先生に相談する、ちゃんと情報を確かめることが大切です」
そして、AIに限らず、自分が軽い気持ちで言ったひとことが、相手を追い詰め、深く傷つける可能性もあるのだと話してくれたと聞きました。
息子はすぐに元気を取り戻せたわけではありません。しかし先生の仲介で、破れた自由研究ノートを、Aくんと先生と一緒に少しずつテープで直すことになりました。それを見たクラスの何人かも「俺も手伝うよ」と集まってきたそうです。
破れたページを貼り合わせるために、手書きでびっしり書かれた文字や絵をまじまじと見たAくん。「……○○くん、やっぱり昆虫博士だな。本当にすごいや」と言ったそう。
息子はその言葉に、少しだけ照れたように笑いました。バラバラになったノートを一緒に直していくうちに、二人の関係もまた、少しずつ元の温かさを取り戻していったのです。
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