クリスマスプレゼントにおすすめの“小学生向け絵本”3選[子どもの本専門店・店長が選出]

子どもの本のプロが選ぶギフト絵本 #7~小学生へのクリスマスプレゼント~ (2/4) 1ページ目に戻る

ブックハウスカフェ店長:茅野 由紀

サンタさんがふたりいるその理由は……?

毎年クリスマス前になると、我が「ブックハウスカフェ」にもたくさんのクリスマス絵本が並びます。クリスマスを描いた絵本は絵も美しく素敵なものばかりで、3冊を厳選するのはとても難しいのですが、今回はクリスマスならではの豊かな時間をじっくりと味わえる作品を選んでみました。

最初にご紹介するのは、今年(2025年)10月に発売されたばかりの『サンタがふたり?』(講談社)。イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選者のスズキトモコさんによるクリスマス絵本です。

『サンタがふたり?』(作:スズキトモコ/講談社)
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主人公は、サンタさんとケーキ屋のマルタさん。クリスマス前日のふたりのようすが、まるで映画のように同時進行で描かれています。住む場所も仕事も異なるふたりですが、実は共通点がいっぱい。

クリスマス前日が一年でいちばん忙しいこと、楽しみに待っている子どもたちがいること、帽子が仕事のアイコンになっていること。恰幅(かっぷく)がよく、立派なおひげをたくわえているところもそっくりです。そんなふたりにアクシデントが……。

「サンタさんが いそいで プレゼントを くばっていると……あっ!」
「マルタさんが いそいで こなを ふるっていると……あっ!」

サンタさんの白いおひげが真っ黒に! マルタさんの黒いおひげが真っ白に!  提供:『サンタがふたり?』(作:スズキトモコ/講談社)

おかげでサンタさんはマルタさんに、マルタさんはサンタさんに間違えられてしまいます。一年でいちばん忙しい日に入れ替わってしまったふたり、一体どうなってしまうのでしょうか──?

サンタさんとマルタさん、ふたりを対比させるという視点がなんともユニーク。トナカイとマルタさんの弟子のクリスもとってもかわいくて、ページをめくるごとにクリスマスのあたたかでハッピーな気持ちに包まれます。

そして、特色インキで印刷したアート性あふれる絵も素敵。グローバルに活躍するスズキトモコさんが描く人物は、どこの国の人ともいえないような無国籍な魅力があるのもお気に入りのポイントです。お話そのものはとてもわかりやすい内容なので、小学生はもちろん、小さなお子さんも一緒に楽しんでいただけるのではないでしょうか。

入れ替わったふたりは、どうなるのか?  提供:『サンタがふたり?』(作:スズキトモコ/講談社)

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