「キリスト教」と聞くと、何を思い浮かべますか? 実はクリスマスやカレンダーなど、私たちの日常はキリスト教由来の文化であふれています。そんな教えが記された世界最大のベストセラー『聖書』は、「いつ、どこから読んでもいい」多彩なジャンルを網羅した本。
関西学院中学部で聖書科を担当する「ポン先生」こと福島旭先生によれば、キリスト教を知ると、見慣れた世界がガラリと変わって見えると言います。この記事では、福島先生の著書『Wonder! 目からウロコのキリスト教』の一部を抜粋し、日常や文化を形づくったキリスト教の驚きのエピソードや歴史を紐解いていきます。
今回は、「宗教は対立するか」についてお伝えします。
『Wonder! 目からウロコのキリスト教』
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宗教戦争は宗教が原因?
宗教は対立するものではないのですか?
生徒から「宗教が原因で戦争が起こっているのだから、宗教をなくせば世界は平和になるのでは」という声が出ることがあります。
そんなとき、私はイエスの「敵を愛し、あなたがたを憎む者に親切にしなさい」(『ルカによる福音書』6章27節)という言葉を引用し、「敵を愛することを大切にするキリスト教の教えからは、戦争をするという考えは出てこないはずです。だから、宗教上の問題が原因で起きる宗教戦争ではなく、『宗教を信じている人間が起こす戦争』なのではないでしょうか」と答えています。
戦争は、国家や民族(人間の集団)やその指導者が、支配や経済的繁栄のために起こすものですが、それだけとは限らないと思います。
「自分たちが信じる宗教だけが真理で、正義である」と信じている人々の信仰が敵対心を生み出し、自分と立場や考えの違う人を許せなくなり、戦争につながることもあるのです。
宗教の中には、自分たちが信じる宗教のみを絶対化するものがあります。そのため、他の宗教は無価値なものだと決めつける立場(宗教的排他主義)や、自分たちが信じる宗教の教えに取り込む形でならば、他の宗教の存在を認めるという立場(宗教的包括主義)をとる宗教が存在した歴史があります。
その考え方は、どうしても戦争や植民地政策を認める方向に傾きがちです。
現在では、多くの宗教が共存・協調・対話を求めるようになりました。これは「宗教多元主義」と呼ばれます。
言葉だけ聞くと難しく感じられるかもしれませんが、「違う教えを持つ宗教がこの社会に複数存在しているということを認め、自分が信じる宗教だけでなく他の宗教も尊重しましょう」という立場のことです。
宗教を「人」や「国」に、教えを「法律」や「価値観」に置き換えると分かりやすいと思います。
128ページの「宗教は恐いものではないのですか?」で後述しますが、日本の宗教は、伝統や文化の中に埋もれて同化してきたという特徴があります。
多くの人が初詣や七五三、成人式という節目に神社へ行き、お盆やお彼岸にはお墓参りをして、クリスマスを祝い、除夜の鐘を聞く─という一年を過ごしています。
そうした行動について、「信者でもないのに」と批判する人はいないでしょう。日本のくらしには、複数の宗教を受け入れて取り込む「宗教多元主義」が育つ土壌が昔からあるのです。
『8時だヨ!神さま仏さま』の426回に及ぶ放送には、多くの宗教者や宗教関係者がゲスト出演してくださいました。「違う宗教でケンカにならないのですか」と聞かれることもありましたが、そうしたことはありませんでした。
なぜなら、出演者全員が自分の宗教を大事にしていて、だからこそ、相手の宗教も大事に思っていたからです。
違う教えや考え方を知るたび、Wonder!という気持ちになり、その違いを面白いと感じる対話を重ねた結果、私はある核心にたどり着きました。
その核心とは「宗教を信じることは対立ではなく対話を生み出していくのだ」ということ。対話を重ねて「ご機嫌な世界」を創り出していくことこそが、宗教には求められているのです。
自分の宗教を信じるならば、相手が信じているものも尊重していく必要があります。
みんなが相手の信じているもの(宗教に限定されません)を大切にしていけば、世界に平和をもたらす絆が生まれていく、と私は信じています。
宗教に限らず、自分以外の人やコミュニティとの出会いは、Wonder!の宝庫です。
皆さんも是非、様々な分野でのWonder!な出会いを楽しんでいただきたいと思います。
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谷口 雅美
兵庫県尼崎市出身、神戸女学院大学卒業。第44 回創作ラジオドラマ大賞と第58 回講談社児童文学新人賞でそれぞれ佳作に入選。著書は『大坂オナラ草紙』『私立五芒高校 恋する幽霊部員たち』『わたしのカレーな夏休み』『殿、恐れながらブラックでござる』(全て講談社)など。戯曲やラジオドラマの脚本も執筆。
兵庫県尼崎市出身、神戸女学院大学卒業。第44 回創作ラジオドラマ大賞と第58 回講談社児童文学新人賞でそれぞれ佳作に入選。著書は『大坂オナラ草紙』『私立五芒高校 恋する幽霊部員たち』『わたしのカレーな夏休み』『殿、恐れながらブラックでござる』(全て講談社)など。戯曲やラジオドラマの脚本も執筆。




































福島 旭
京都市出身。関西学院大学大学院修了後、島根、広島で牧師および幼稚園園長を務め、現在は関西学院中学部宗教主事・人権教育主任・教諭、関西学院会館宗教主事、関西学院大学講師。冠句作家。保護司。琉球音楽ユニット“Sari Sari Moon” のギター& ボーカル担当。著書『GOODNEWS ~新約聖書』、『EXODUS ~旧約聖書』( 共に新教出版社) 他。
京都市出身。関西学院大学大学院修了後、島根、広島で牧師および幼稚園園長を務め、現在は関西学院中学部宗教主事・人権教育主任・教諭、関西学院会館宗教主事、関西学院大学講師。冠句作家。保護司。琉球音楽ユニット“Sari Sari Moon” のギター& ボーカル担当。著書『GOODNEWS ~新約聖書』、『EXODUS ~旧約聖書』( 共に新教出版社) 他。