
子どもの暴力行為が20年で3倍に! “キレる子ども”のメカニズムと親の心構え[専門医が解説]
#1児童精神科医が説く「キレる子ども」の受け止め方~メカニズムと親の心構え~
2025.07.18
児童精神科医:原田 謙
“キレる”パターンは3つに分けられる
パターン①怒りが大きくなってキレる
怒りが爆発してキレる過程には、大きく3つのパターンがあります。
一つは怒りが大きくなってキレるパターンです。日頃から怒りを感じる場面が多く、しかもそれを我慢する状況が続いていて、怒りが自分の内側にたまっていく。そして爆発してしまうのです。
このパターンは例えば、不適切な養育を受けている子に見られます。
大人から暴力をふるわれたり放置されたりして、怒りを感じる。しかし怒れば反抗的だとみなされ、さらに厳しい仕打ちを受ける。そのような状況では、子どもは刃向かえば状況が悪化することを察して、怒りの感情を抑え込もうとします。それがやがて爆発するのです。
また、最近の子どもは「いい子」でいるように求められることが多いと私は感じています。乱暴な言葉を口にしたり、きょうだいや友達に強く当たったりすると、すぐに注意されます。日常的に怒りをため込みやすくなっているように思います。
そのような環境下では、おとなしい子が実は怒りをため込んでいて、ある日突然キレることがあります。
パターン②小さな怒りを我慢できない
第二のパターンは、小さな怒りを抑えるのが難しくて、爆発してしまう形です。例えば衝動性が高くて、少し悪口を言われただけでもキレてしまう子がいます。また、些細なことにこだわって、他の人が気にしないようなことで激しく怒り出す子もいます。
あるいは、小さいころからまわりの大人に先回りされて問題を取り除かれていたために、我慢する練習が不十分なまま成長したという場合にも、怒りを我慢しづらくなります。

このパターンの場合、他の子どもたちがおだやかに過ごしている場面で、我慢の苦手な子どもだけがキレてしまうということになりがちです。
パターン③2つのパターンが重なる
①と②が重なるパターンもあります。我慢をするのが苦手な子が、不適切な養育を受けたり、「いい子」でいることを強要されたりして、キレやすくなるパターンです。
これがもっとも深刻です。発達障害の特性が関連している場合もあるのですが、そういった背景がまわりの大人になかなか理解されず、大人のほうも途方にくれてしまい、お互いの関係に悪循環が生じている場合に、この第三のパターンが見られます。