子どもの暴力行為が20年で3倍に! “キレる子ども”のメカニズムと親の心構え[専門医が解説]

#1児童精神科医が説く「キレる子ども」の受け止め方~メカニズムと親の心構え~

児童精神科医:原田 謙

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子どものキレる行動を見ていると、発達特性だけではなく、その子の性格やこれまでの育て方も影響しているように思えてくることもあります。「原因はどれなんだろう」と悩んでしまうこともあるでしょう。

原因を重視しすぎない

そういうときには、一つの要因を重視しすぎないことが大切です。キレる行動にはさまざまな要因があります。特定の出来事や、その子の性格なども要因となります。よく親の養育が問題視されますが、一つの要因だけではなく、さまざまなことが関連しているのだと考えましょう。そのほうが、子どもや自分を責める気持ちが少なくなります。

私たち大人は、キレる子どもを「悪い子」ととらえてしまいがちです。しかし、その子も四六時中キレているわけではありません。勉強や運動などをがんばっているときもあります。子どものよい面に目を向ける。子どもを見直す。まずはそこから始めてみてください。

次に、大人が子どもとの接し方を見直しましょう。例えば「子どもに厳しすぎたかな」と感じたときに、「自分はそういう性格だから」と考えると、気持ちが後ろ向きになります。「性格」ではなく「接し方」を見直しましょう。これまでのやり方には、よいところもあったはずです。その点は継続しながら、うまくいっていないところを見直していきましょう。

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次回は、暴言・暴力をどこまで許す? 子どもの問題行動・やり過ぎ行為、暴言に、大人は具体的にどう対応するべきか、についてご紹介します。

構成/佐々木奈々子

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■今回ご紹介の書籍はこちら
キレる子どもの気持ちと接し方がわかる本』(著:原田謙/講談社)
児童精神科医の著者が25年以上の臨床で培ってきた、キレる子どもへの対応・支援法を、マンガを交えて解説します。

「暴力の止め方」「話の聞き方」「ほめ方・𠮟り方」「発達障害の場合」など、ノウハウ的な接し方だけでなく、子どもと向き合うときに意識したい大人側の心構えも重要。ブレない姿勢で、子どものこころに寄り添いながら対応をしていくことで、キレる行動は減っていくでしょう。本書では事例をマンガで紹介しながら対応のしかたを解説。子どものこころに寄り添う対応法がわかります。

『キレる子どもの気持ちと接し方がわかる本』(著:原田謙/講談社)

連載は全4回 (※公開時よりリンク有効)

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はらだ ゆずる

原田 謙

Yuzuru Harada
児童精神科医

長野県立こころの医療センター駒ヶ根子どものこころ診療センター長、副院長。信州大学医学部臨床教授。全国児童青年精神科医療施設協議会代表。 1962年東京都生まれ。1987年信州大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センター、国立精神・神経センター国府台病院、信州大学医学部附属病院などを経て、2014年から現職。専門は児童精神医学。研究テーマは発達障害の二次障害(特に反抗挑発症、素行症)。 著書に『「キレる」はこころのSOS』(星和書店)、 『キレる⼦どもの気持ちと接し⽅がわかる本』 (講談社)など。 成人した2女の父であり4人の孫がいる。趣味はサッカー日本代表の応援、テニス、カラオケ。

長野県立こころの医療センター駒ヶ根子どものこころ診療センター長、副院長。信州大学医学部臨床教授。全国児童青年精神科医療施設協議会代表。 1962年東京都生まれ。1987年信州大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センター、国立精神・神経センター国府台病院、信州大学医学部附属病院などを経て、2014年から現職。専門は児童精神医学。研究テーマは発達障害の二次障害(特に反抗挑発症、素行症)。 著書に『「キレる」はこころのSOS』(星和書店)、 『キレる⼦どもの気持ちと接し⽅がわかる本』 (講談社)など。 成人した2女の父であり4人の孫がいる。趣味はサッカー日本代表の応援、テニス、カラオケ。