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「夜泣きでも寝てる」夫に妻はイライラ…「夫婦喧嘩の2大場面」子育て家庭のモヤモヤ解決法を専門家が解説
2025.08.06
「“なぜ私ばかり”。この状況はそりゃあ、イライラ、モヤモヤしますよね。実は夫婦の不仲の原因はほぼ、この不公平の感覚なんです」
うなずきながら、布柴先生はそう言います。SNSでもこの場面のイライラ・モヤモヤをつぶやく声が多く見られますが、そこにはセットのように「そんな夫を選んだあなたが悪い」という、悪意の言葉も。
ですが布柴先生によると、この状況は「その人の夫、個人だけの話ではない」とのこと。

「父親が子どもの泣き声でも起きないのは、それが『自分のやることではない』『夜泣きで目が覚めるのは母親の役目』と思いこんでいるから。そしてその思い込みは、これまで夫が育って生きてきた、社会の構造に根ざしています」
日本は近代以降、特に戦後の高度経済成長期に「男は外で仕事」「女は家で家事・育児」という性別での役割分担が広く定着してから、大半の家庭で、夜泣きの対応は母親がメインでやってきました。父親が関わる場合でも「手伝う」という形でした。
それから時代は大きく変わり、現代では子どものいる夫婦の8割が共働き。
育児を担う父親は、どんどん増えています。この変化によって、平成の流行語大賞になった厚労省の「イクメン」プロジェクトは、この7月に「共育(トモイク)」プロジェクトと名前を変えました。
ですが今、父親になっている人たちの多くは、『夜泣きで起きる父親』というお手本=ロールモデルを実際に見て育ってきた世代ではありません。

父親が育児をするための育児休業の取得率を見ても、まだ3割程度。夫婦は共に働き、共に子育てをするという価値観の変化に、社会の実態や父親の意識が追いついていないのです。
夜泣きで起きないのは、目の前の夫個人だけの問題ではない。彼が育ってきたこれまでの社会が思い込みを作っているのだと、布柴先生は説明します。
ではその思い込みをなくし、夜泣きをめぐる夫婦の間のイライラ・モヤモヤをなくすには、どうしたらいいでしょう。
仕組みづくりで乗り越える
「まず夜泣きを含め、育児は二人でやる、と確認し合うのが重要です。そのためには育児に関して『手伝う』を禁止ワードにして、二人が育児主任になる。育児本やネットで得る情報もそのつど共有して、夫婦が同時にトレーニングを積む、と考えましょう」
赤ちゃんの泣き声に反応するセンサーを入手できるなら、それを夫の側に置き、物理的に鳴き声を聞こえやすくする工夫も一案です。夜泣き感知のシステムを父親側に整えれば、泣き声を聞きとる大人を二人に増やせます。
このシステムを作った上で、夫婦の体調や仕事の忙しさに合わせて、夜泣き担当を当番制で分担しているケースもあります。平日は妻・週末は夫と分け、日中のお昼寝で睡眠時間を回復する方法も。
どんな方法でも重要なのは、「夫婦二人で主任になる」ということ。
「これから赤ちゃんを迎える夫婦なら、妊娠中から父親学級などの機会に参加し、育児をする父親のロールモデルを見るのも大切です。出産前から何度でも、『生まれたら夫婦で同じように赤ちゃんの世話をする』と確認すると、『夜泣き対応は母親』の思い込み予防になります」
妻が病気になったとき、夫に育児を任せると…
夜泣き対応のようなイライラ・モヤモヤ場面は、他にもいくつもありますが、そのすべてには「不公平感」と「時代とのずれ」という共通点がある──そう布柴先生は言います。