【中高生の性教育】中学生に「コンドームの使い方」を教える “4児の母“の数学教師が明かす「理由」とは?

中高生の性教育 #1 ~義務教育でコンドームの使い方編~

最初は「LGBTQ」についての授業からスタート

──三觜先生の学校では、中学2~3年生を対象に、コンドームの使い方まで含めた実践的な性教育を行っているとお聞きしました。始めたきっかけは何ですか?

三觜なつ美先生(以下、三觜先生):この取り組みを始めたのは今から6~7年前の2018~2019年です。最初は、LGBTQについて生徒たちと考えることから始めました。当時はまだ社会全体での認知度も低く、教職員や保護者から「学校で教える必要があるの?」という声もありましたが、「性の多様性」を知ることは、他者を尊重し、自分を大切にするために必要だと考え、続けてきました。

時代とともに、この5年ほどで急速にLGBTQへの理解も進み、生徒たちの人権意識も高まってきました。その成果を感じる中で、次のステップとして「コンドームの使い方」を教えることに取り組むようになったのです。

コンドームはさまざまな種類や大きさのものが販売されています。  撮影:安田光優
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性をタブー視することで被害者や加害者が生まれる

──日本の学校では、文部科学省の「はどめ規定」により、受精や妊娠は教えても、セックスそのものは教えないのが一般的です。それでも一歩踏み込んだ授業をしようと考えたのはなぜですか?

三觜先生:一番の理由は、目の前の子どもたちの命を守りたかったことです。そして、生徒が性のトラブルで被害者や加害者にならないようにしたかったからです。性に関する無知が、望まない妊娠や性被害の原因になっていると感じていました。日本ではセックスをタブー視する文化が、かえって被害者も加害者も生み出していると思うのです。

例えば、防犯ブザーもただ持っているだけでは、いざというときに使えませんよね。事前に練習するからこそ、必要なときに使えるのです。コンドームも同じです。

大切な体を守るためには、知識だけでなく、実際の使い方を学ぶ機会が必要です。でも、日本の教育にはそれがありません。この状況を変えたいと思いました。

妊娠・出産、デートDV、パートナーとの関係なども教える

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