【中高生の性教育】中学生に「コンドームの使い方」を教える “4児の母“の数学教師が明かす「理由」とは?

中高生の性教育 #1 ~義務教育でコンドームの使い方編~

保護者からは「ぜひやってほしい」と切実な声が出た理由

──保護者からの反対はなかったのですか?

三觜先生:最初に保護者向けの授業を行いました。子どもが性について正しく学ぶためには、大人も学び直す必要があると考えたからです。

子どもはもともと性に対してフラットですが、大人がタブー視することで「触れてはいけないもの」と思ってしまいます。

保護者向け授業で「こういうことを子どもたちに伝えたい」と説明すると、「ぜひ授業でやってほしい」「わが子が興味を持っているはずなのに、親として向き合い方が分からなかった」という声が多く、皆さんも子どもの性教育に悩んでいたのだと実感しました。

三觜先生の性教育授業をYouTubeで見る

中学教師が「セックス」指導 “コンドームの付け方実践”や“出産シーン鑑賞”に挑戦 「先生セックス何回したことある?」なんて質問も 性教育〈カンテレNEWS〉

性教育の究極の目標は「自分自身を大切にできること」

──ご自身も4人のお子さんのお母さんですが、ご家庭での性教育はどのようにされていますか?

三觜先生:子どもは5~6歳くらいになると「どうやって生まれたの?」と聞いてきます。そのときに、年齢に合わせた言葉で、正直に伝えるようにしています。

例えば、「ママとパパが『大好きだよ、子どもをつくろう』という気持ちがあって、パパのおちんちんとママのお股の命の通り道になる穴をくっつけるんだよ。

すると小さな小さな命のタネのオタマジャクシがママの体の中に入るんだよ。1億匹以上のオタマジャクシの中から、たった1匹だけがママの体の中で卵と出会って、それがあなたになったんだよ。あなたは奇跡の存在なんだよ」と伝えます。

子どもの反応は……「おれって、めっちゃすごいんやな!」でした。

性教育の最終的な目的は、子どもたちが「ありのままの自分を愛せること」です。たくさんの奇跡の連続で生まれた命だからこそ、心も体も丸ごと愛せるような人生を送ってほしい。

そして、自分を守るための知識を身につけてほしい。それが、私が性教育を続ける理由です。

──◆───◆──

「包括的性教育の目標は、一人ひとりが自分を大切にできること」という三觜先生の言葉が印象的でした。そして、コンドームの使い方から妊娠・出産まで踏み込んだ性教育の根底には、生徒への深い愛情をしっかり感じました。

次回2回目は、三觜先生の性教育授業をサポートした、コンドームシェア№1で知られるオカモト株式会社の和田翔雅さんに、意外と知られていないコンドームの基礎知識や、正しい使い方を教えてもらいます。

取材・文/横井かずえ

コンドームの使い方にまつわる性教育連載は全3回。
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よこい かずえ

横井 かずえ

Kazue Yokoi
医療ライター

医薬専門新聞『薬事日報社』で記者として13年間、医療現場や厚生労働省、日本医師会などを取材して歩く。2013年に独立。 現在は、フリーランスの医療ライターとして医師・看護師向け雑誌やウェブサイトから、一般向け健康記事まで、幅広く執筆。取材してきた医師、看護師、薬剤師は500人以上に上る。 共著:『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社) URL:  https://iryowriter.com/ Twitter:@yokoik2

医薬専門新聞『薬事日報社』で記者として13年間、医療現場や厚生労働省、日本医師会などを取材して歩く。2013年に独立。 現在は、フリーランスの医療ライターとして医師・看護師向け雑誌やウェブサイトから、一般向け健康記事まで、幅広く執筆。取材してきた医師、看護師、薬剤師は500人以上に上る。 共著:『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社) URL:  https://iryowriter.com/ Twitter:@yokoik2