人生に役立つ器用貧乏力
もちろん習い事で思わぬ才能を発掘できれば儲けもの。でも、そうでなくても、いろいろやっていれば「器用貧乏力」くらいは身につきます。
「何だ、そんなもの」と思わないでください。これが結構生活のあちこちで役立つのです。
数々のアナザーワールドを渡り歩いてきた私の実力はというと、
●譜面なしで自信満々に弾けるピアノの曲は『ねこふんじゃった』だけ。
●スイミングプールでは全級制覇したが、海では浮き輪が欠かせない。
●国際人を目指した英会話も、流暢なのは「Hello~! How are you?」「I’m fine thank you」までと留学初日で確認。
●右手で叩き込まれた毛筆と硬筆は、左利きのため普段活躍の場はナシ。
と、まあ、こんな感じ。
しかも、これらすべて3〜10年という、わりと長いスパンで習ってきたものばかり。そのほかの習い事も全部同じようなもので、何ひとつ大成したものはないのだから残念極まりないとも言えます。
でも、才能がないならないなりに、できる人を観察したり、真似したり、工夫したり、悪戦苦闘・試行錯誤したりして何とか結果をひねり出そうとしてきたおかげで、習っていない初めてのことであっても、なんとかこなせる自信がつきました。
言うなれば「器用貧乏力」なるものが身につき、それがその後、私の人生の様々な局面で生かされてきたのです。
仕事で降ってくる実現困難な指令や、結婚・出産で突然やらざるをえなくなった未経験の家事・育児・お受験など、正攻法でこなすには限界を感じる時に、それはひょっこり頭角を現す。突出した才能や能力はなくても、この器用貧乏力のおかげでどうにかクリアできた難局も少なくはありませんでした。
習い事の良さは技能アップだけじゃない
子どもの習い事って、これくらいでもいいのではないでしょうか。
多くの成果を求めたり、競争させたり、過大な期待を寄せるよりも、人格形成の上で大事な時期だからこそ「快適な居場所を作る」ぐらいの心持ちの方が、子どももプレッシャーなく伸び伸びと楽しめる。
大切なのは「こういう世界もあるんだよ」と教えてあげること。それで救われ、新たな一歩を踏み出せることもあると思うのです。
メインである学校の世界が八方塞がりになったとしても、バックドアがあって、そこから脱出すると別世界が待っている。逃げ道として、そんな“第2・第3の世界”がある方が生きやすいのではないでしょうか。
もし、その世界が合わなければ、とっとと出て、次なるドアを開ければいい。そうして“こっちの世界”や“あっちの世界”を行き来していると、意識せずとも、危機が去るまで他に気をそらして過ごすことができる。
気づけば、そんな分散力や忍耐力、人を頼る機転や柔軟性を身につけている。さらには人生を生きていく上で必要な「困難を上手に切り抜ける器用さ」まで習得できていたりするのです。
習い事で未知なる才能を発見できるのはとても素晴らしいこと。
でも、その前に“人生を上手に歩くための秘訣”を発見できたなら、子どもにとってきっともっとハッピーな未来が広がっている、そんな気はしませんか。
華子
ライター。一般的なサラリーマン家庭で育ち、公立で小・中・高を過ごす。都内の大学卒業後、プチセレブな夫と出会い、結婚。女児の母。庶民との差に日々驚きつつも、平然なふりを装ってアセアセと暮らしている。 TOKYOお受験の裏側
ライター。一般的なサラリーマン家庭で育ち、公立で小・中・高を過ごす。都内の大学卒業後、プチセレブな夫と出会い、結婚。女児の母。庶民との差に日々驚きつつも、平然なふりを装ってアセアセと暮らしている。 TOKYOお受験の裏側