中学受験を「親のエゴ」にしないための「秘訣」とは 都内私立中学の副校長と中受を描く作家が「試験多様化」を語る

『中受 12歳の交差点』工藤純子×國學院大學久我山中学高等学校副校長 スペシャル対談 前編

ライター:山口 真央

児童文学作家の工藤純子さん(左)と、國學院大學久我山中学高等学校の副校長、髙橋秀明先生(右)。
すべての画像を見る(全6枚)

中学受験は、受験者数の増加や入試の種類の多様化により、かつてとはまったく違う様相を見せています。

令和の時代、何のために中学受験をするのか──。その問いに挑んだのが、『中受 12歳の交差点』を描いた児童文学作家の工藤純子さんです。

工藤さんの母校、國學院大學久我山中学高等学校は、東京都杉並区にある中学受験を実施している私立学校の1つ。

この記事では、國學院大學久我山中学高等学校の副校長、髙橋秀明先生と、工藤純子さんが対談し、変わりゆく中学受験の“いま”を、深掘りします。

前編では、一昔前と現在で、中学受験は何が変わったのか、そして中学受験が「親のエゴ」にならないための秘策を考えます。

中学受験をする小学生は格段に増えている

髙橋:工藤さんが書かれた『中受 12歳の交差点』は、3人の小学生のリアルな中学受験の様子が描かれていて、興味深く読ませていただきました。

子どもたちの心理描写もさることながら、中学受験の現状がわかりやすく伝わってきます。

工藤:ありがとうございます。子どもの中学受験を経験して、一昔前の中学受験とはまったくの別物だと知ったことが、この本を書くきっかけになりました。

私が小学生のころ、中学受験する子はクラスで1人か2人で、成績のいい子ばかり。

ところがいまは、勉強ができることだけが中学受験をする理由ではなく、いろいろな特性を持ったお子さんも、自由に学校選びをできる時代になっています。

髙橋:おっしゃるとおり、中学受験をするお子さんは、格段に増えています。

理由としては、共働きのご家庭も増えてるなか、私立の教育への関心が高まったことが挙げられるでしょう。

ペーパーテストだけじゃない!? 中学入試の「多様化」

前へ

1/3

次へ

20 件