
中学受験を「親のエゴ」にしないための「秘訣」とは 都内私立中学の副校長と中受を描く作家が「試験多様化」を語る
『中受 12歳の交差点』工藤純子×國學院大學久我山中学高等学校副校長 スペシャル対談 前編
2025.06.28
ライター:山口 真央
ペーパーテストだけじゃない!? 中学入試の「多様化」

髙橋:中学受験をするお子さんが増えたもう1つの理由は、多彩な教育、特色ある教育を求める風潮が強まるなかで、中学入試の多様化が進んだことです。
もちろん、国語・算数・理科・社会の4教科、国語・算数の2教科のペーパーテストを実施している学校が、圧倒的に多いのは事実です。
一方で、適性検査型の試験や、表現力、思考力の試験、図書館で調べものをして発表する試験など、独自の試験をおこなう学校も増えてきています。
『中受 12歳の交差点』でも、AO入試を受ける女の子、つむぎさんが描かれていますね。
工藤:そうなんです。つむぎは勉強は得意ではありませんが、そういった子にとっても中学受験は魅力的であると思います。
つむぎはバレーボールが大好きですが、進学予定の公立中学にはバレーボール部がありません。
けれども、ある出来事によって、バレーボール部のある私立中学校にAO入試で入れることを知り、家族とともに挑戦することになります。
髙橋:小学6年生の12月から、挑戦するんですよね。工藤さんが、つむぎさんの家族が入試に向けて協力する様子を「優しい時間」と表現されていたのが印象的でした。
工藤:家族が一丸となって何かを成し遂げることは、子どもの年齢が上がるにつれて少なくなってしまうものです。
入試対策と考えると大変ですが、AO入試に向けて親子で人生を振り返り、面接の準備をする時間は、とても尊いことのように感じました。
髙橋:つむぎさんの家族が団結するシーン、とても魅力的でした。
自分に合った学校や試験を見つけて、やる気満々で受験に取り組むつむぎさんは、理想的な受験生の姿ですね。