不登校のキミへ… 「不登校専門紙」が「精神的親殺し」を勧めるワケ

シリーズ「不登校のキミとその親へ」#1‐1 不登校新聞代表理事・石井しこう氏~子どもたちへ~

不登校新聞代表理事:石井 しこう

不登校新聞代表理事の石井しこう氏。本人も中2から不登校になり、フリースクールへ通った。  写真:日下部真紀

2021年度の文科省調べでは小中高校生の不登校児数は約30万人。20年度より2割以上増加し、過去最多となったことは2022年の大きなニュースになりました。

登校渋りや保健室登校などの不登校予備群を含めると10人に1人とも言われ、もはや不登校はどんな子どもにも起こり得る身近なことになっています。

学校に行けず一番つらいのは子ども本人。日本で唯一の不登校専門紙『不登校新聞』代表理事で不登校経験を持つ、石井しこう氏から「不登校に苦しむキミ」へメッセージです。

※1回目(全4回)

石井しこうプロフィール
『不登校新聞』代表理事。1982年東京都生まれ。中学2年生から不登校になりフリースクールへ。19歳から日本で唯一の不登校の専門紙『不登校新聞』のスタッフとなり、2006~2022年に編集長を務める。これまで不登校当事者、親、有識者など400人以上を取材。不登校にまつわる著作やメディア出演も多数。

元不登校だからわかる苦しみとその先

どうしても学校に行けない。でも、行かなきゃいけない。親も「どうして行けないんだ」「頼むから行ってほしい」と言ってくる。苦しいよね。とっても苦しいと思う。

でもね、大丈夫です。自分はダメな人間なんだと思う必要はない。お先真っ暗なんてことも絶対にない。だって、自分が行きたくないところに行けないだけなんだから。

僕も25年前、中学2年生のときに学校に行けなくなりました。苦しかったです。これは信じてほしいんだけど、不登校を経験した子どものほとんどは、学校に通った子どものほとんどがそうであるように、やがて普通のおじさんおばさんになります。それぞれに自分の道を見つけて、それぞれに楽しい人生を歩んでいます。

このあいだ、不登校のころ同じフリースクールに通っていたメンバーで久しぶりに集まったんだけど、40歳を超えた僕たちがまず盛り上がったのは、痛風の話題だったんだよね。順調におじさんおばさん化していることに気づかされて、みんなで笑っちゃった。

でも先々はさておき、切実にどうにかしたいのは今の苦しさだと思う。いろんな苦しさがあるけど、大きな原因が親であることは少なくない。

怒ったりなげいたりするばっかりで、苦しさを理解してくれないのはつらいよね。説得するのは簡単じゃないし、こっちだって弱っているからそんなエネルギーなんて出てこない。

だったら苦しさに押しつぶされる前に、思いきって親を殺してしまおう。もちろん、本当に殺すわけじゃない。

精神的に親を切り離して「親だってわからないことはある」「親に認めてもらえなくてもいい」と思うことができたら、ずいぶんラクになる。それは大人になるために、誰もが通る道でもある。不登校には人を成長させてくれる効能もあるんだよね。

今がどんなに真っ暗闇でも、出口は必ずある。苦しむなというのは無理かもしれないけど、どうか自分を責めないでほしい。勉強の遅れなんて、あとからどうにでもなります。

行きたくないところに行けない。あなたは当たり前のことをしているだけです。

そんな自分をまずは自分が認めてあげながら、今日を生きて、明日も明後日も生き続けましょう。

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次回は石井さん自身の不登校経験を伺います。

構成/石原壮一郎

フリースクールとはどんな場所か、選ぶ基準等々、不登校経験者でもあり、数々の不登校児童やその家族を取材してきた不登校新聞代表理事・石井しこう氏が詳しく解説『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)。

石井 しこう

Shikou Ishii
『不登校新聞』代表理事

『不登校新聞』代表理事。1982年東京都生まれ。中学2年生から不登校になりフリースクールに通う。19歳から日本で唯一の不登校の専門紙『...

いしはら そういちろう

石原 壮一郎

コラムニスト

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアで...