
タブレット純 “みんな同じ”になじめなかった小中学時代「学校でうまくやれなくても生きてればいい」
シリーズ「不登校のキミとその親へ」#9‐3 歌手・お笑いタレント タブレット純さん~ぼくを救ったもの~
2025.07.28
歌手・お笑いタレント:タブレット純
ぼくは銭湯が大好きで、仕事が終わってひとっぷろ浴びるのが何よりの楽しみです。そこで小さい子どもとお父さんの親子連れをよく見るんですが、どのお父さんもやさしいですよね。「次はシャツ、次は靴下」って、全部先回りしてあげてる。ぼくも子どものころに父親と銭湯に行きましたけど、「おい、早くしろ。何やってんだ」と𠮟られた記憶しかない。
大きなお世話ですけど、やさしくない父親に育てられた自分としては、そこまで手を出さなくても、もっと子どもの力を信じてもいいのになと思ってしまいます。服を着る順番ぐらいだったらいいんですけど、子どもを持つ友達や知り合いの話を聞くと、我が子にこうなってほしいとかこうしてほしいとかって、いつもすごく考えていて、口も手も出してますよね。
ウチの親は事あるごとに「お前はバカなんだから、とにかく生きているだけでいい」というメッセージを送ってくれました。それはありがたかったです。どういう意図だったのかはわかりませんけど。意図なんてなかったのかもしれないな。
我が子に対して「こうなってほしい」という期待は、どの親もいろいろあると思います。それはそれとして、早い段階から「とにかく生きているだけでいい」と伝えることも、大切なんじゃないでしょうか。
いろいろ語ってしまいましたけど、自分がもし親になったら、ダメな親になる自信があります。子どもを𠮟るなんてできないし、子どもがなにを考えているかわからなくて怖くて仕方ないと思う。「親としての教え」なんて伝えられる気がしません。キャンプに行くみたいなことも、こそばゆくて無理かな。いっしょにゲーセンに行くぐらいはできそうだけど。
親はどうすればいいのかの正解は、ぼくにはわかりません。でも、こういう行動をしないと親失格だとかは、あんまり気にしなくていいんじゃないでしょうか。生意気ですけど、情報に振り回されている親が少なくないように見えます。親ががんばりすぎると、子どもが気をつかっちゃいますからね。
子どもの生きる力を信じてみるのも、親の役割だし愛情たっぷりの見守り方じゃないかなと、ぼくは思います。
取材・文/石原壮一郎

連載は全3回

石原 壮一郎
コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』『失礼な一言』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。 萩本欽一がマヌケの素晴らしさを伝える『マヌケのすすめ』(ダイヤモンド社)、林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)、毒蝮三太夫が高齢者にまつわる悩みに答える『70歳からの人生相談』(文藝春秋)では構成を担当。 2024年秋には、何かと厄介な周囲の「昭和人間」、そして「昭和人間」である自分自身との付き合い方を考察した『昭和人間のトリセツ』(日経プレミアシリーズ)が話題を呼んだ。 写真:いしはらなつか
コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』『失礼な一言』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。 萩本欽一がマヌケの素晴らしさを伝える『マヌケのすすめ』(ダイヤモンド社)、林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)、毒蝮三太夫が高齢者にまつわる悩みに答える『70歳からの人生相談』(文藝春秋)では構成を担当。 2024年秋には、何かと厄介な周囲の「昭和人間」、そして「昭和人間」である自分自身との付き合い方を考察した『昭和人間のトリセツ』(日経プレミアシリーズ)が話題を呼んだ。 写真:いしはらなつか
タブレット純
1974年生まれ。神奈川県出身。幼少期より古い歌謡曲に目覚め、思春期は中古レコードを蒐集(しゅうしゅう)しながら愛聴、研究に没頭する。 古本屋、介護職などの仕事を経て、ムード歌謡の伝説的グループ『和田弘とマヒナスターズ』にボーカルで加入。グループ解散後、ライブハウスなどで活躍し、寄席・お笑いライブにも進出。「ムード歌謡漫談」という新ジャンルを確立し、唯一無二の存在として人気に。テレビ、ラジオ、連載等のレギュラー多数。 ●オフィシャルブログ「タブレット純の世界」 ●株式会社トルバ プロフィール
1974年生まれ。神奈川県出身。幼少期より古い歌謡曲に目覚め、思春期は中古レコードを蒐集(しゅうしゅう)しながら愛聴、研究に没頭する。 古本屋、介護職などの仕事を経て、ムード歌謡の伝説的グループ『和田弘とマヒナスターズ』にボーカルで加入。グループ解散後、ライブハウスなどで活躍し、寄席・お笑いライブにも進出。「ムード歌謡漫談」という新ジャンルを確立し、唯一無二の存在として人気に。テレビ、ラジオ、連載等のレギュラー多数。 ●オフィシャルブログ「タブレット純の世界」 ●株式会社トルバ プロフィール