みんな大好き!「国語の教科書」に載るお話、どうやって決まるの? 自作絵本が教科書に載った作家と教科書編集者に聞きました

絵本『はるねこ』が教科書に掲載された著者・かんのゆうこさんと教科書編集者へインタビュー

著作『はるねこ』が教科書に掲載された、童話・絵本作家のかんのゆうこさん。
写真提供/かんのゆうこ
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4月10日は教科書の日!

春、新学期。学年が上がると、今まで使っていた教科書たちにお別れをして、新しい教科書が配られます。

折り目がなく、ピカピカの表紙にわくわく。少しステップアップした内容にドキドキ。ずっしりとした重量で、持ち帰るのに苦労した方も多いでしょうか。

そんな、多くの人にとって思い出深い、小学校の「国語の教科書」について、ある作品から探ってみることにしました。

国語の教科書って、ひとつじゃないの?

「この話、小学校の教科書に載っていたよね」
「え? 記憶にない。あなたとは同世代のはずなのに……」

こんな会話をしたことはありませんか? それもそのはず、令和7年度現在、小学校の国語の教科書は、東京書籍株式会社教育出版株式会社光村図書出版株式会社の3社から発刊されています。

教科書に掲載されているお話は、出版社ごとに異なるものや重なるものがあり、また、同じ出版社でも、長年掲載され続けている作品もあれば、数年ごとの改訂時に新しい作品が載るなど変化しているのです。

いつまでも心に残るお話の数々

先ほどの会話が生まれるように、国語の教科書に載っているお話は、大人になっても、印象深く覚えているものです。

『スイミー』『ごんぎつね』『もちもちの木』『おおきなかぶ』

『おてがみ』『スーホの白い馬』『ずーっとずっとだいすきだよ』
……。

あなたの心に残っているのは、どんな物語ですか? よく覚えていないという方は、光村図書ウェブサイト「教科書クロニクル」で、生年月日から検索することもできますよ。

教科書には絵本がいっぱい? 担当編集に聞きました!

国語の教科書に載っているお話は、文章が中心の読み物のように思いがちですが、じつは絵本の作品がたくさん掲載されています。

先にあげた『スイミー』や『スーホの白い馬』なども、もともと絵本として刊行されている作品です。

教科書の出版社である教育出版の小学国語編集者にうかがったところ、国語の教科書に掲載する作品は、絵本や児童書、小説などの形式にこだわらず、その学年で指導される学習の目標に合っていることや、子どもや先生に「読んでみたい」「教えてみたい」と思ってもらえるような魅力のある作品を選ぶため、特に絵本だからという選び方をしているわけではないとのこと。

とはいえ、絵本を掲載することのメリットもあるようです。それは、絵本はそもそも「文章と絵」で作品の世界ができあがっているので、その世界感をそのまま子どもたちに伝えやすいということ。

文章のみの作品の場合は、作品の世界観を壊さないよう、イメージに合った挿絵をつけることに、細心の注意をはらう必要があるということです。

また、小さなころから親しんできた「絵本」が教科書に掲載されていると、子どもたちは安心感をおぼえ、教科書に親しみを覚えることにつながるかもしれません。

さて、昨年(令和6年度)から新たに教科書に掲載された絵本のひとつに、『はるねこ』があります。主人公と、春をもたらす種をなくした猫との、季節の風を感じるお話です。

『はるねこ』(絵/松成真理子)の文章を書いたかんのゆうこさんに、自身の作品が教科書に掲載されるという貴重な体験について、お話をうかがいました。

10年以上前の絵本が、突然教科書に! 一体どうやって?

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