まずは、校閲です。
講談社さんには校閲部があり、原稿のまちがいや不備な点を確認していただけます。私も、大変お世話になりました。5月末に初の本文校閲が戻ってきたのですが、主人公けんたの刀を下げる糸の描き忘れから、わかち書き(小さいお子さんが読みやすいように、文節で区切る方法)や、句読点、語尾の表現など、たくさんのまちがいを見つけてくださいました。それを修正して、また校閲していただくことを繰り返します。表紙や見返し、帯もすべて確認していただけるので、うっかり者の私には、本当にありがたかったです。
装丁は、城所潤さんが手がけてくださいました。本文の彩色を終えて、次は、カバーや見返しの作成です。事前にラフ案を数点送っていたので、それを元に編集Kさんがデザインの方と打ち合わせをしてくださり、どの画にするかが決まりました。カバー(表)は、タローのアップです! 背景の色はデザイナーさんのイメージを伺ってから彩色したのですが、おかげでインパクトのあるカバーとなりました。それ以外にもカバー表4(うら側)、袖(カバーの折り込み部分)、見返し(前と後ろ)を描き、6月初旬に原画を郵送しました。そして、6月中旬にデザインされた表紙などがメールで届きました。タイトルも筆文字風になっていて、作品のイメージにぴったりです。見返しは、タローの修行風景を墨絵風に描いたのですが、色は、白地に緑となりました。本文も文字位置など、とても読みやすくしていただきました。そして、7月末には、遊び心のある可愛い帯のデザインもしていただきました。
印刷は共同印刷さんが手がけてくださいました。
7月初旬、1回目の本文初校が郵送で届きました。「わ~キレー! 原画よりいいかも!?」と、いうのが、最初の感想でした。例年ですとここで、講談社で打ち合わせとなるのですが、現在の状況を考慮して、いったん原画を私のほうに戻していただき、7月中旬に編集KさんとZOOMで打ち合わせとなりました。原画と見くらべながら、デザインや色の出方など調整していただきたい所をお伝えしました。
そして、7月末に本文再校正が届きました。今度は初校と見くらべながら、調整をお願いした所が希望の色になっているかを確認しました。前回よりさらに良い色になっていましたが、一ヵ所だけ新たに調整いただきたい所があり、本当に申し訳ないのですが、再度調節をお願いして、8月中旬に最終の念校が届きました。
印刷の方々が頑張ってくださったおかげで、納得の刷り上がりでした。無理なお願いにも対応してくださり本当にありがたかったです。実際の紙に印刷された本文を見て、「本当に絵本になるんだな~」と実感がわいてきました。
次回の制作日記は9月末頃、出版を終えての感想などを書かせていただきたいと思っています。
その頃までに、コロナの収束。。。というわけには、残念ながらいきそうにありませんが……この猛暑だけは、収まっていてほしいと切に願います。みなさまもくれぐれも、お身体大切にお過ごしください。
渡辺 陽子
第41回講談社絵本新人賞を受賞。はじめての作品となる『にんじゃいぬタロー』を刊行。神奈川県在住。
第41回講談社絵本新人賞を受賞。はじめての作品となる『にんじゃいぬタロー』を刊行。神奈川県在住。