「いよいよ締め切り!」デビュー間近の絵本作家の制作日記

4皿目「塗り方いろいろ食べ方いろいろ」(2022年 講談社絵本新人賞受賞者)

玉田 美知子

1979年に創設され、かがくいひろしさん、シゲタサヤカさん(佳作)、石川基子さんなど、たくさんの絵本作家さんを輩出してきた「講談社絵本新人賞」。新人賞受賞作品は単行本として刊行されるため、絵本作家を目指す多くの人からご応募いただいております。

第43回講談社絵本新人賞は応募数442作の中から選考会を経て、『まよいぎょうざ』を描いた玉田美知子さんに決まりました! 受賞からデビューまでの日々を、受賞者自ら書き上げる「制作日記」です。

絵本『まよいぎょうざ』制作日記 4皿目「塗り方いろいろ食べ方いろいろ」玉田美知子

ぎょうざもマンゴーも大好きな玉田美知子です、こんにちは。

いよいよ締め切りが差し迫り、餃子を食べ歩いている場合ではなくなってきました。

まだ迷っている構図はあるのですが、担当編集さんのゴーサインをいただき、色塗り作業を開始しています。

私の色塗りの手順は、まずケント紙に下地を塗ってから、転写紙で下絵をトレース。そしてアクリルガッシュで色付けするというものです。
上:アクリルガッシュはケースの中に雑に入れています。下:下絵のサイズを間違えて、トレースにも苦戦しました。写真提供:玉田美知子
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アクリルガッシュを使っている理由は、なんと言っても重ね塗りができるからです。細かいところの色合いは考えずに着色し始めるので、この色じゃなかった、ということが多々あります。

例えば、最初のページの屋根の色なんて、何度塗り替えたかわかりません……。

失敗しても塗り直せばいいんだと、臆することなく手を動かせるので、私には向いている画材だと感じています。

難点は、絵の具がすぐ固まって使えなくなるところでしょうか。作業をそろそろ終えようと思った矢先にうっかり絵の具を出しすぎて、使い切るまで休めない、なんてことも……。

どの画材にもメリットデメリットがあり、使ったことのない画材もたくさんあるので、これからもいろいろな画材を試していきたいなと思っています。
上:1枚目の一部分。屋根の色を茶色からグレーへ。下:2枚目の一部分。主人公のとしお君の顔色も濃くしました。写真提供:玉田美知子
1、2枚目の着彩を完成させてから、こんな感じで進めて大丈夫かどうか、担当さんにご意見を伺いました。

緊張しながらお返事を待っていましたが、楽しい絵ですね~! 子どもが喜びそうです! と言っていただけて、ほっとひと安心。嬉しすぎるお言葉に飛び上がる勢いでした。

この勢いで最後まで、楽しい絵を心がけていきたいです!
ぎょうざをこまごまと描くのは一番楽しい作業です。つい描きたいところから描いてしまいます。写真提供:玉田美知子
色塗りは楽しい作業ではありますが、とても時間がかかります。完成までは長い道のりです。千里の道も一歩からという心持ちで、自分なりに丁寧に進めていきます。

とにかく今は、ずっと作業をし続けていたいのですが、生活もあるので、そういうわけにはいきません。

特に夕飯の献立は悩みの種です。

夕飯の準備をなるべく簡単に済ませたい、でも美味しいものを食べて力をつけたい。

そんな私のために! 今回は宮崎から餃子をお取り寄せしてみました!

ご存じの方も多いと思いますが、宮崎市といえば、餃子の支出金額と購入頻度が、2021年、2022年と2年連続で日本一の「新・餃子の街」! その秘密を探るべく(かつ夕飯の時短のために)購入に至った次第です。

はるばる宮崎から到着した餃子の箱の中には、アレンジレシピも同封されていました。

焼き餃子、水餃子はもちろん、揚げ餃子、餃子鍋、餃子チャーハンなど、バリエーションの豊富さに驚きです。タレの種類もたくさんあります。味噌、日向夏、柚子こしょう味と、未体験のものばかり。

これなら飽きずに、毎日でも食べ続けられます。さすがは新チャンピオンです。日本一の秘訣が少しだけ分かりました。
揚げ餃子、餃子鍋を作りました! 揚げただけ茹でただけ~。写真提供:玉田美知子  
アレンジしながら4日間ほど餃子を食べ続けました。

スタミナがつき、作品と向き合う時間も増え、ぎょうざたちに助けられています!

残りの餃務(ぎょうむ)もぎょうざパワーで乗り切ります!

制作日記もあと2皿です。ぎょうぞよろしくお願いいたします!

講談社絵本新人賞 受賞作既刊

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たまだ みちこ

玉田 美知子

作家

1977年生まれ、神奈川県在住。多摩美術大学立体デザイン専攻卒業。 第21回ピンポイント絵本コンペ入選、第42回講談社絵本新人賞佳作受賞。 2022年、第43回講談社絵本新人賞を受賞。 2024年、第15回ようちえん絵本大賞受賞、第8回未来屋えほん大賞受賞、第15回リブロ絵本大賞入賞。コーヒー豆のサブスクリプションサービスを運営。

1977年生まれ、神奈川県在住。多摩美術大学立体デザイン専攻卒業。 第21回ピンポイント絵本コンペ入選、第42回講談社絵本新人賞佳作受賞。 2022年、第43回講談社絵本新人賞を受賞。 2024年、第15回ようちえん絵本大賞受賞、第8回未来屋えほん大賞受賞、第15回リブロ絵本大賞入賞。コーヒー豆のサブスクリプションサービスを運営。