「餃子のビーナス in 宇都宮」デビュー間近の絵本作家の制作日記

3皿目「下描きを終え、餃子のビーナスに会いに行く」(2022年 講談社絵本新人賞受賞者)

玉田 美知子

1979年に創設され、かがくいひろしさん、シゲタサヤカさん(佳作)、石川基子さんなど、たくさんの絵本作家さんを輩出してきた「講談社絵本新人賞」。新人賞受賞作品は単行本として刊行されるため、絵本作家を目指す多くの人からご応募いただいております。

第43回講談社絵本新人賞は応募数442作の中から選考会を経て、『まよいぎょうざ』を書いた玉田美知子さんに決まりました! 受賞からデビューまでの日々を、受賞者自ら書き上げる「制作日記」。「ギョーザの日」でもある3月8日からお届けします。

絵本『まよいぎょうざ』制作日記 3皿目「下描きを終え、餃子のビーナスに会いに行く」 玉田美知子

餃子もいちごも大好きな玉田美知子です、こんにちは。

さて今回は、前回の制作日記の続きから、ミニラフの戻し~下描きまでをお話ししたいと思います。

『まよいぎょうざ』のミニラフを提出してからしばらく経って、担当さんからお電話があり、ミニラフについてのお返事をいただきました。修正するというよりは、1ページずつ絵本の内容を丁寧に読み込み、描いた意図を説明しながら、精査していく作業になりました。

大きく変更するわけではないけれど、ちょっと直すだけで流れがスムーズになる箇所がいくつかあって、担当さんからいただいたご提案の数々に「なるほど!」とか「おもしろいですね!」といった相槌を、電話口で何度発したことでしょう。

内容を詰めていくうちに、「この部分は必要ないかな?」などと私自身も編集する側の気持ちになったりして、このときはじめて、自分の作品を少し客観的に見られた気がします。

話し合いは1時間以上に及び、笑ったりうなずいたり他人事のように楽しんでしまいましたが、電話を切った後にいま一度気を引き締めて、より楽しい絵本にしようと心に誓った私です。

話し合いの内容を踏まえてミニラフを描き直し、担当さんにご承諾をいただいた後は、いよいよ下描きに入ります! 急ぎながらもなるべく妥協をしないように心がけ、取り組みました。

構図を考えるのが苦手なので、納得のいく構図になるように、パーツごとに切り取り、どの角度がしっくりくるか動かしてみたり。どうしてもうまく描けないページは、実際に同じポーズのぎょうざを紙粘土で作ってみたり。
ぎょうざのタレをのぞきこむシーン。写真提供:玉田美知子
頑張った割にあまり参考にはならなかったのですが。

試行錯誤を経て、どうにかこうにか下描きが完成いたしました。

今、担当さんにご確認いただいている真っ只中です。
『まよいぎょうざ』下描き。写真提供:玉田美知子
下描きが終わったら行きたかった場所がありました。

『まよいぎょうざ』の中に、宇都宮にある餃子像をモデルにした部分があるので、色塗りに入る前に、ご挨拶しておきたいという思いがあったのです。

前回お伝えしたように、宇都宮を訪れたことは何度かあるのですが、餃子像の前は素通りしておりました。宇都宮に到着して、まずは餃子像の元へ行き、今までの非礼をお詫びしつつ、じっくり観察、撮影することができました。
「餃子像」と「餃子通り」。写真提供:玉田美知子
その後、餃子店が密集しているエリア「餃子通り」に行きました。

「餃子通り」は想像以上に凄かった……!

街灯が餃子、電柱の看板も立体的な餃子になっています!

撮影スポットもあり、あちこち餃子だらけで、夢中で写真を撮りました。

老舗の餃子店では、なんと120分待ち! 遊園地のアトラクション並みです。
120分待っていただいた老舗の餃子。最高に美味しかったです!写真提供:玉田美知子  
このように、足を、口を動かし、もちろん手も一生懸命動かして、鋭意制作中です。

来月は色塗りの様子などをお伝えできるかと思います。

4皿目は何餃子になるのでしょうか、現在考え中です。予想しつつ、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

次回もぎょうぞよろしくお願いいたします!

講談社絵本新人賞 受賞作既刊

たまだ みちこ

玉田 美知子

作家

1977年生まれ、神奈川県在住。多摩美術大学立体デザイン専攻卒業。 第21回ピンポイント絵本コンペ入選、第42回講談社絵本新人賞佳作受賞。 2022年、第43回講談社絵本新人賞を受賞。 コーヒー豆のサブスクリプションサービスを運営。

1977年生まれ、神奈川県在住。多摩美術大学立体デザイン専攻卒業。 第21回ピンポイント絵本コンペ入選、第42回講談社絵本新人賞佳作受賞。 2022年、第43回講談社絵本新人賞を受賞。 コーヒー豆のサブスクリプションサービスを運営。