
【全ページ試し読み】国際的賞を受賞した「あたまにのったタコ」が全ページ読める!
アストラ国際絵本原作コンテスト 講談社賞受賞作
2026.06.02
『あたまにのったタコ』(たしろ ちさと/作/絵 ジェニー・ギヨーム/原案)
【お知らせ】
2026年6月16日(火)より7月13日(月)まで ジュンク堂池袋本店 児童書コーナーにて『あたまにのったタコ』の原画展を開催! ぜひ原画を見にいらしてください!![]()
【全ページ試し読み】『あたまにのったタコ』
ひょんなことから、頭にタコがのってしまった男の子。男の子はそのままタコといっしょに生活することに……。一緒に1年を過ごした次の夏、タコとのお別れのときがやってきた……。
多様性、自分と異なる存在への理解、言葉を超えた友情など、さまざまなことを考えさせてくれる絵本。ぜひ最後までご覧ください。
多様性、自分と異なる存在への理解、言葉を超えた友情など、さまざまなことを考えさせてくれる絵本。ぜひ最後までご覧ください。
※この試し読みは2026年6月11日(木)までの期間限定公開です。
『あたまにのったタコ』(たしろ ちさと/作/絵 ジェニー・ギヨーム/原案)
それは ぼくが まだ ちっちゃかった、きょねんの なつに おきた。
なつやすみ、かぞく みんなで うみに いった ときの ことだ。ぼくは うまれて はじめて うみに もぐった。
そこで 20まで かぞえてから かおを だしたら、なんと ぼくの あたまに ちょこんと タコが のって いたんだ。
それからだ。ぼくの まいにちが たいへんな ことに なったのは。タコは ぼくの あたまに しっかり くっついて、ひっぱっても はなれない。さいしょは タコも まだ ちっちゃかったけれど、なつやすみが おわる ころには、どんどん おおきく なって……
しんがっきが はじまる ひには、びっくり するくらい きょだいな タコに なって いた。ぼくは まるで ピンクの かつらを かぶって いるみたいに なっちゃった。
しんがっきが はじまる ひには、びっくり するくらい きょだいな タコに なって いた。ぼくは まるで ピンクの かつらを かぶって いるみたいに なっちゃった。
がっこうに いくと、ぼくは クラスの みんなに なつやすみの はなしを した。どうして タコが ぼくの あたまに のってしまったのか。クラスの みんなは おおわらい。
せんせいは ぼくに タコを あたまから はずしなさいと いった。なつじゅう とろうと したけど とれなかったのに……。
タコは ほんとうに こまった やつだ。いつも めの まえに タコの うでが ぶらさがって いるから、ぼくは じゃまで うまく はしれない。サッカーの パスも ゴールキックも ぜんぶ はずしちゃう。
ともだちが へたくそだなと やじったら、なんと タコは その こに むかって すみを はいた。それが もとで ぼくと その こは おおげんかに なっちゃった。
ともだちが へたくそだなと やじったら、なんと タコは その こに むかって すみを はいた。それが もとで ぼくと その こは おおげんかに なっちゃった。
タコが ぼくの あたまの うえに くっついてから、ふしぎな ことも おこった。じゅぎょうちゅう せんせいが しつもん すると、タコが すぐに うでを あげるから、いつも ぼくが こたえる ことに なる。そして いつも せいかい するんだ。じぶんでも ちょっと びっくり するけど。
となりに すわっている キムは、タコの おかげだと いって いる。なんでも タコには のうが 9つも あるんだそうだ。
となりに すわっている キムは、タコの おかげだと いって いる。なんでも タコには のうが 9つも あるんだそうだ。
どうぶつずきの キムが、あたまに ヒトデを のせた にんぎょの ほんを かしてくれた。ぼくの タコは この はなしが すごく きに いったみたいだ。ぼくは まいばん タコに ほんを よんでやる ことに した。
ごはんを たべるのも いっしょ。おふろに はいるのも いっしょだ。おふろの なかだと、タコは ホッとして くつろいで いる。それを みて いると、ひろい うみの なかだったら、タコも もっと たのしい ことが できるんだろうなって おもっちゃう。
ごはんを たべるのも いっしょ。おふろに はいるのも いっしょだ。おふろの なかだと、タコは ホッとして くつろいで いる。それを みて いると、ひろい うみの なかだったら、タコも もっと たのしい ことが できるんだろうなって おもっちゃう。
それで、ぼくは プールで すいえいの レッスンを うける ことに した。
おおきな プールの なかだったら、タコも もしかして ぼくの あたまを はなれて およぐかも しれないと おもったんだ。ぼくは ゆっくり プールに はいって、みずの なかに あたまを つけた……。
あれ、どうしたんだろう? タコが うごかなく なっちゃった。きゅうに まっしろに なって、3つの しんぞうも とまっちゃった! プールの みずの せいかもしれない。あわてて プールから あがって シャワーを あびたら、タコは ちょっとずつ もとの いろを とりもどした。ああ、よかった。ほんとに こわかった。
おおきな プールの なかだったら、タコも もしかして ぼくの あたまを はなれて およぐかも しれないと おもったんだ。ぼくは ゆっくり プールに はいって、みずの なかに あたまを つけた……。
あれ、どうしたんだろう? タコが うごかなく なっちゃった。きゅうに まっしろに なって、3つの しんぞうも とまっちゃった! プールの みずの せいかもしれない。あわてて プールから あがって シャワーを あびたら、タコは ちょっとずつ もとの いろを とりもどした。ああ、よかった。ほんとに こわかった。
それからは、タコを あたまから ひきはなす ことは もう やめた。
それより、ちゃんと タコの せわを してやろうと きめたんだ。
きせつが あっと いう まに すぎて いった。
そして、ついに また なつが やって きた!
なつやすみ、ぼくたちは また うみべに むかった。
それより、ちゃんと タコの せわを してやろうと きめたんだ。
きせつが あっと いう まに すぎて いった。
そして、ついに また なつが やって きた!
なつやすみ、ぼくたちは また うみべに むかった。
うみの ちかくまで くると、タコは どんどん いろが かわった。きっと うれしいんだろう。でも ぼくは きが おもかった。なんだか うみに はいりたく ない。タコが いってしまうのが こわかった。
ぼくは おもいきって うみの ほうに あるきだした。はしって、なみの なかに とびこんだ。そのまま もぐって 20まで かぞえた。
めを あけたら、すぐ めの まえに ぼくの タコが いた。こっちを みて いる。にげたりなんか しなかった。ずっと ぼくの そばに いる。うみの なかの タコは とっても じゆうで たのしそうだった。
タコは ぼくに およぎを おしえてくれた。それから どっちが はやいか きょうそうした。ぼくたちは いっしょに いっぱい あそんだ。
そして とうとう なつやすみ さいごの ひが きた。タコは うみで いつもみたいに ぼくを まって いた。
ぼくの タコ、きみに なんて いえば いいんだろう。ぼくは かいがらを うみの そこに ならべて じを かいた。「さよなら」 って。
そしたら、タコの うでが ぼくの ほっぺたを やさしく なでた。
それから タコは かいがらを ならべかえると、ぼくに よんでと あいずを おくった。そこには こう かいて あった。
ぼくの タコ、きみに なんて いえば いいんだろう。ぼくは かいがらを うみの そこに ならべて じを かいた。「さよなら」 って。
そしたら、タコの うでが ぼくの ほっぺたを やさしく なでた。
それから タコは かいがらを ならべかえると、ぼくに よんでと あいずを おくった。そこには こう かいて あった。
作・絵/たしろ ちさと
東京都生まれ。大学で経済学を学んだ後、4年間の会社勤めを経て、絵本の制作を始める。『ぼくはカメレオン』で世界7ヵ国語同時デビュー。おもな著書に、日本絵本賞を受賞した『5ひきのすてきなねずみ ひっこしだいさくせん』(ほるぷ出版)『クリスマスの おかいもの』(講談社)『すずめくん どこで ごはん たべるの?』(福音館書店)『くんくん、いいにおい』(グランまま社)『みんなの いえ』(文溪堂)ほか多数。
原案/ジェニー・ギヨーム
フランス在住。大学図書館司書として働く傍ら、作家としても活動している。「あたまにのったタコ」(原題:Un poulpe sur la téte)で第2回アストラ国際絵本原作コンテスト講談社賞を受賞。文章を手がけた作品に『Le zèbre et le prisonnier』(「シマウマと囚人」日本未訳)がある。![]()
『あたまにのったタコ』(たしろ ちさと/作/絵 ジェニー・ギヨーム/原案)



































たしろ ちさと
東京都生まれ。大学で経済学を学んだ後、4年間の会社勤めを経て、絵本の制作を始める。『ぼくはカメレオン』で世界7ヵ国語同時デビュー。おもな著書に、日本絵本賞を受賞した『5ひきのすてきなねずみ ひっこしだいさくせん』(ほるぷ出版)『クリスマスの おかいもの』(講談社)『すずめくん どこで ごはん たべるの?』(福音館書店)『くんくん、いいにおい』(グランまま社)『みんなのいえ』(文溪堂)ほか多数。
東京都生まれ。大学で経済学を学んだ後、4年間の会社勤めを経て、絵本の制作を始める。『ぼくはカメレオン』で世界7ヵ国語同時デビュー。おもな著書に、日本絵本賞を受賞した『5ひきのすてきなねずみ ひっこしだいさくせん』(ほるぷ出版)『クリスマスの おかいもの』(講談社)『すずめくん どこで ごはん たべるの?』(福音館書店)『くんくん、いいにおい』(グランまま社)『みんなのいえ』(文溪堂)ほか多数。