【1分で読める】Wi-Fiの基礎技術を生み出したヘディ゠ラマー

『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』1話(ヘディ゠ラマー)試し読み

絵:柴田ケイコ
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現代の生活において、携帯電話をはじめとした通信技術は欠かすことができないものです。今やすっかりお馴染みとなった「Wi‐Fi」の基礎となる通信技術を考えたのは、ある一人の女優でした。彼女の名は「ヘディ゠ラマー」。

シリーズ累計74万部を超える、ロングベストセラーを全面改訂した、最新の科学伝記『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』監修:小山慶太(講談社)から、ヘディ゠ラマーの生涯を紹介します。

ヘディ゠ラマー

Wi‐Fi、GPS、Bluetooth……現代のわたしたちの生活になくてはならないものばかりです。

けれども、それらの無線通信技術を考案したのがだれかを知っている人は、どのくらいいるでしょうか。

ヘディ゠ラマー。それが発明者の名前です。なんと、映画史に名をのこす女優です。

ヘディは、1914年にオーストリアのウィーンでうまれ、もってうまれた美しさを武器に16さいで女優になりました。そして1938年には、アメリカにわたります。

ハリウッドでも有名になりますが、ひまを見つけては、あまり役にたたない発明をするのが趣味でした。

そのころ、ヘディは、作曲家のジョージ゠アンタイルと知りあいます。時は1940年、第二次世界大戦さなか。

ヘディは、アメリカ軍の無線誘導魚雷のこうげきが、ドイツ軍の電波妨害によって失敗していることを心配していました。

そんなある日、ヘディはアンタイルとピアノで遊んでいて、ふとひらめきました。

「ねえ、この自動ピアノみたいに通信機の周波数を高速で切りかえられたら、敵にじゃまされずに魚雷を誘導できるんじゃない?」

アンタイルは、はじめはわらいましたが、この考えが理論上成り立つことに気づき、実用化する手助けをしました。

そして、ヘディたちは、現代の無線通信の基礎となる「周波数ホッピング」という技術を発明したのです。

ヘディはこの技術をアメリカ軍にもちこみましたが、「女優のいうことなんて。」と、相手にされませんでした。軍の関係者がこの通信技術の重大な価値に気づいたのは、それから20年近くたってからでした。

ヘディはその後も映画に出演しつづけました。そして、発明家としてようやくみとめられはじめたころ、2000年に85さいでなくなりました。

文:小松原宏子

(この記事は『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』をもとに構成しました)

『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』監修:小山慶太(講談社) 
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ようじとしょへんしゅうぶ

幼児図書編集部

絵本をつくっている編集部です。コクリコでは、新刊の紹介や作家さんのインタビュー、イベントのご案内など、たのしい情報をおとどけします! Instagram : @ehon.kodansha Twitter : @kodansha_ehon

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