2021.05.12

絵本新人賞受賞・はっとりひろきの『いっぺん やって みたかってん』制作日記

第39回 講談社絵本新人賞受賞作家の受賞からデビューまで 第5回「完成いたしました!」

著者:はっとり ひろき

※この記事は、講談社絵本通信(2018年4月)掲載の記事を再構成したものです。

みなさまこんにちは、はっとり ひろきです。今回は再校から、いよいよ完成までのお話しをしたいと思います。

初めて印刷されたものを見て、修正をしてもらいたい所がいくつかあり、それを調整していただき再度印刷されたものが今回も送られてきたので、さっそく初校との違いをひとつずつ確認していきました。文字の位置、汚れや塗りむら、色の濃さなどを確認したのですが、どうしても、何とかしたいなぁ、という部分が引っかかり、モヤモヤしてきてしまいました。

それは、ラストに向かっていくシーンで、木登りをする場面、そしてその木の上から景色を眺める場面です。木の葉っぱの緑色と、景色の鮮やかさが、どうしても自分がイメージしているものと少し違ったのです。このシーンは、それまで楽しく盛り上がってきた気持ちを、色使いの切りかわりによって、雰囲気を変える場面にしたかったので、できるだけ色を鮮やかに出して欲しいと思っていました。(本当は、印刷されて出てくる色を想定して、原画を仕上げるべきなのかもしれませんが……)
 

その後、(シ)さんと電話で打ち合わせがあったので、そのことを伝えました。(シ)さんにも同じように感じてもらえたので、出来る限りのところまで粘っていただくことになり、印刷所の方をはじめ様々な方の手によって、修正していただき、とうとう「いっぺんやってみたかってん」は完成いたしました!気になっていた場面も素晴らしい色に仕上げていただき、文字のフォントの細かい部分まで(シ)さんとギリギリまで見直して、多くの方の応援をいただき、そして多くの方に助けていただいて店頭に並べていただけることと思います。

僕のことを全く知らない方々にも受け入れていただけるのか、楽しんでいただけるのか、そんな気持ちになることもあります。だからこそ、支えてくれる方々や、大丈夫と声をかけ続けていただいた方々に感謝して、そして僕はこの気持ちを込めた作品を見守り続けたいと思います。

完成しました!

さて、このように爽やか~な空の下で、すなくん、ぶらんこくん、すべりだいくんが、楽しそうに遊んでいます。さぁ、いったいどんなことが起こるのでしょうか! 実は表紙は晴れなのですが、舞台は雨の日の公園なのです! この話は、家の近くの公園の横を雨の日に通ったとき、もしかしたらこの公園の木の向こう側で、遊具たちが遊びまわっているんじゃないの? と思い、一気にアイデアが出てきました。どんな遊びをしているのか、皆さんも一度想像してみると面白いですよ~。そして、出来ることなら、その皆さんの想像をほんの少しでも超えることができていたら嬉しいです。
 
今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。本当なら、完成したので、これでおしまいだと思うのですが、あつかましくも、あと一回、制作日記にお付き合いください。次回最終回は、制作を振り返って思ったことなどを、まとめてみたいと思います。ありがとうございました。

こちらができあがった絵本です。

今日はあめふり。せやから、公園にはだ~れもおりまへん。そんなときに、砂場から出てきたのは……。遊具たちが自由に動いて遊びまわる!?

『いっぺん やって みたかってん』 
作:はっとり ひろき 講談社

著者紹介

はっとり ひろき

1978年岐阜県海津市生まれ。小さいころから絵を描くことと、F1が好きだった。高校卒業後、建設機械及びフォークリフトの整備士として勤める傍ら、絵本作家を目指す。2016年よりメリーゴーランドの絵本塾に通う。2017年、『いっぺん やって みたかってん』で第39回講談社絵本新人賞受賞。三重県在住。2児の父。