犬山紙子と考える!ママパパのモヤッと育児Q&A「職場復帰。理想と現実」

育児に関する情報や世代間の価値観の違いなど、気になる疑問に犬山紙子さんが答えるシリーズ第10回

ライター:木下 千寿

育児中の気になるモヤモヤ疑問を、犬山紙子さんと一緒に考える

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子育てしていると、ちょっと引っかかって胸の中にわだかまる事柄に行き当たったり、モヤモヤとして一言で言い表すのが難しい思いや疑問が浮かぶ瞬間があるはず。

「“悩み”というほどではないけれど、どうも腑に落ちない」「なんだか気になる」そんな話を、イラストエッセイスト、コラムニストとして活躍し、自身も6歳の娘さんの子育て真っ最中の犬山紙子さんと一緒に考えてみましょう。
犬山紙子
イラストエッセイスト、コラムニスト。2011年マガジンハウスからブログ本を出版しデビュー。2014年結婚、2017年に第1子となる女児を出産後、児童虐待問題に声を上げるタレントチーム「#こどものいのちはこどものもの」を立ち上げ、社会的養護を必要とする子どもたちへのクラウドファンディング「こどもギフト」メンバーとしても活動中。
「職場復帰、こんなはずじゃなかった!」
「以前、外国の女性首相辞任のニュースを見ても改めて思いましたが、女性が子育てしながらキャリアを続行するのは本当に難しい。“産後は復職”という流れは普通のことだと思っていたけれど、いざ復帰しても昇進は遠のき、年収ダウン……と、出産前に思い描いていた職場復帰とは全然違うので、モヤモヤが募ります」(3歳女児/ママ)
職場復帰、想定外でも仕方ない?

転職もアリ? 仲間を増やすなど行動を

〈犬山さん〉
このニュースは私の印象にも残りました。「女性首相の初めての産休に、世界は進んでいる!」と感動したのですが、その後の辞任の報道で「あれだけ進んでいる国でもやはりキツかったんだな」と思いましたし、相談者の方の話もそうですが、日本は女性の復帰がもっと大変であることに対して腹立たしい気持ちになりました。

私はフリーランスなので昇進などはとくにありませんが、やっぱり出産・育児で仕事をお休みするのはとても怖かったです。漫画家の友人は、「結婚した際に『仕事は続けます』と言わなかったために、『パートナーができて収入は問題ないだろうから、彼女には仕事を振らなくていい』と勘違いされて仕事が減った」と嘆いていて、驚かされました。

また、「子どもができました」と報告すると、遠慮して仕事を振られなくなった、とか……。でも男性の場合は、「妻が妊娠しました」と言っても仕事には何も響かず、むしろ男性社会では「これでやっとお前も一人前だな」なんて言われたりする。子どもを持って一人前とされる男性社会もどうかと思いますが、まだまだそんな世の中ですよね。
子育てへの理解と仲間を求めて
これは同じ気持ちを抱えている人とまずはグチを言いまくってほしい! 孤立感が軽減されますし、同じ悩みの人から得られる情報は宝ですよね。そして、もしまだ話されていなかったら、信頼できる上司にキャリアアップしていきたい気持ちを話し、会社の中で少しずつ仲間を増やしていってほしいです。

それは自分だけがずるいのではなく、次に続く女性のために道を開く勇気ある行動だと思うのです。また、産後の女性がイキイキと働いている企業に転職という手段を視野に入れてみるのも悪くないと思います。

ただ、子育てに主体的な夫だとしても、「出世するのは男性のほうが多いから、女性が仕事を変える」といった、お金のためにキャリアを女性が諦めるパターンも少なくないと思います。やっぱり社会の構造にそもそも問題があるわけで、ここまで女性が奮闘せねばならないことにやはり憤りがあります。

子育ては夫婦でするものだと思うので、男性が当たり前に産休、育休を取る社会になってほしい。そして性別ではなく、働きたい人が働ける社会になってほしいと切に思います。
写真(犬山紙子)/岩田えり 取材・文/木下千寿 写真提供:shu/PIXTA(ピクスタ) 、maruco/PIXTA(ピクスタ)
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きのした ちず

木下 千寿

ライター

福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。

福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。