
えっ? イカって血を吸うの?
いいえ、イカはタコの親戚ですが、イカもタコも血は吸いません。
地獄の吸血イカは、コウモリダコという名前のタコとイカの仲間です。
その映像を見ると、コウモリダコは全長が30センチほどの大きさで、体全体がくすんだ赤紫色、ビー玉のような青い色の目をしています。傘膜(さんまく)がはった腕をバフリバフリと動かして、ゆっくりと深海を泳ぎます。
と、次の瞬間、8本の腕を大きく広げて裏返し、外套膜(がいとうまく)のほうにピタリとくっつけました。すると、腕から出ているトゲトゲしたヒダがまるでサボテンの棘のように並んでいます。このヒダは吸盤に沿って生えている皮膚の一部です。
腕が8本ならコウモリダコはタコなんじゃない? 名前もタコだし。
そうですね。どうしてコウモリダコが吸血イカなのかというと、8本の腕に他に細長くヒョロロと伸びる2本の触手があるからです。
これらの触手を腕と見ればコウモリダコの腕は全部で10本となり、腕が10本ならイカとなります。鰭(えら)があるのもイカのように見えます。