「地獄の吸血イカ」と呼ばれる不思議なタコがいる!? タコなのか、イカなのか? その正体とは

「日本一のタコ博士」が教える「タコ入門」(4)

池田 譲

コウモリダコは唯一無二の存在だった!

でも本当のところ、2本の触手は腕ではなく、水中のものを感じ取る器官と考えられます。だから腕は8本でタコなのです。ただ、イカにある軟甲という薄いシートがコウモリダコにもあるので、イカのようにも見えます。

このようにコウモリダコはタコのようでもありイカのようでもあるので、タコとイカとは別のコウモリダコ目というグループに区分けされています。そのグループのメンバーはコウモリダコただ1種です。

コウモリダコは腕の先っぽに1個、外套膜の中ほどと先っぽに2個ずつ発光器を持っています。これらが光ると、まるでお化けのようになります。暗い深海ならびっくりすること間違いなし、天敵をも驚かせるでしょう。

最近になり、コウモリダコはプランクトンの死骸など海の中にただようマリンスノー(海の雪)を食べていることがわかりました。地獄の吸血イカだなんて、ずいぶんと迷惑な名前をつけられたものですね。

『タコのなぞ 「海の賢者」のひみつ88』は大好評発売中!

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日本一のタコ博士として知られる琉球大学の池田譲さんが、88個の「タコのなぞ」をQ&A形式で徹底解説! 生態、習性、文化的役割など、いまだ多くの部分が謎のベールに包まれているタコの秘密に迫ります。イラストや図版も満載。子どもから大人まで楽しく読むことができます。

●タコには心臓が3つ、脳が9つある!?
●タコのうでは、じつは折り曲げる場所が決まっている?
●タコは力持ちだけど、「重さの違い」はよくわからない?
●陸上を走るタコもいる?
●貝殻をもっているタコもいる?
●タコとイカの吸盤はぜんぜん別物?
●タコにも右利きと左利きがある?
●タコは「光の種類」が見分けられる?
●タコも夢を見ている……かも?
●タコはカモメを食べることもある?
●タコの死因は2つしかない?
●「地獄の吸血イカ」とよばれるタコがいる?
●ネコにタコを食べさせちゃダメ?
●タコは真水に入れると死んでしまう?

など。
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いけだ ゆずる

池田 譲

IKEDA Yuzuru
琉球大学理学部教授

1964年、大阪生まれ。北海道大学大学院を修了して博士号(水産学)を取得。その後、スタンフォード大学、京都大学、理化学研究所などを経て現職へ。イカとタコの知性、社会性、コミュニケーション、飼育法などを研究。『タコのなぞ 海の賢者のひみつ88』(講談社)、『イカの心を探る』(NHKブックス)、『タコの知性』(朝日新書)など著書多数。小学生時代のあだ名はイケ。

1964年、大阪生まれ。北海道大学大学院を修了して博士号(水産学)を取得。その後、スタンフォード大学、京都大学、理化学研究所などを経て現職へ。イカとタコの知性、社会性、コミュニケーション、飼育法などを研究。『タコのなぞ 海の賢者のひみつ88』(講談社)、『イカの心を探る』(NHKブックス)、『タコの知性』(朝日新書)など著書多数。小学生時代のあだ名はイケ。