【低利用魚】って知ってる? 実は美味しいことを知られていない魚がいっぱい!

MOVEラボ研究員助手のはるきが 第5回「低利用魚についてのワークショップ」をレポート!

全国漁業協同組合連合会 馬田さんの 「低利用魚」についての講義

水産庁漁政部吉川さん(左)全国漁業協同組合連合会 馬田さん(中)、はるき(右)
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低利用魚や未利用魚とは、言葉の定義ではなく、一般的には数量やサイズの不揃い、魚体に傷がある、知名度が低かったり地域によって馴染みのない魚などの理由によって、価格が低くなったり、流通しづらい魚のことを指すそうです。最近は売りづらいので、お店も避ける傾向があったり、家庭でも魚の調理をなかなかしなくなってきたので、下処理をしていない魚やなじみのない魚、規格外の魚を買わなくなったりしてきています。

ですが、漁師さんたちは獲った魚を食用や、エサ、肥料等、いろんなことに利用してきました。

例えば
•エソやタチウオなどの小骨の多い魚はすり身にし、カマボコにして食べる。
•さばくのが難しい小アジや、エビの殻などは揚げることでパリパリになり骨ごと殻ごと食べられるようになる。
•乾燥させて干物にすることで旨味が凝縮し、保存食にもなる
•食用に向かない魚や加工品から出た残りを魚粉にして養殖魚や家畜のエサに混ぜたり、野菜の肥料として使っている。

といった工夫がされています。

その中でも特に、イソズミやアイゴなど、海藻のにおいがうつり美味しくないと言われ漁師さんでも困ってしまう魚もあります。それでも工夫し、売れる商品として開発することで廃棄や駆除ではなく漁業として成り立つようになります。
研究員も真剣に耳を傾けます。
日本で食べられている魚の大体の種類はおよそ30〜50種と言われていますが、現在、日本では水産物の消費量が減少しています。JF全漁連では全国各地の漁師さんが季節ごとにいちばん食べてほしい魚「プライドフィッシュ」を選び、情報発信する取り組みをしているそうです。

本当に美味しい漁師自慢の魚であること、地元で水揚げされたものなどの条件のもと、各都道府県で選定されています。例えば僕の住んでいる大阪府であれば、スズキ、マイワシ、クロダイ、マダコなどが選ばれていました。さらに魚の美味しいレシピや購入できる店の紹介もあります。

自分の都道府県はどんなオススメの魚があるのか、是非一度サイトを見てみてください。今回の話を聞くまでは日本の水産物の消費量が減っているということをまったく知りませんでした。食べやすいからつい魚の切り身を買ったり、同じような種類の魚ばかり買っていました。

しかしこのような状況を知ったので、これからは食べたことがないような魚を買ってみたり、1匹そのままで買ってみたりして、調理を楽しんで魚を食べてみようと思いました。

ABCクッキングスタジオで調理体験!

みんなで料理体験!
手際よく調理します。
JF岡山漁連さんが提供してくださった低利用魚であるクロダイをみんなで頑張って料理しました。

【メニュー】
•クロダイのあら煮
•クロダイのムニエル
•クロダイの潮汁
•お刺身
•おにぎり


みんな料理を教えてくれる方の言葉をしっかりと聞いて、失敗することなく、とても楽しみながら料理していました。
完成した料理はこちら! 良い匂いがして、かなり美味しそうでした。
みんな自分たちで作った魚の料理をお昼ご飯に食べていました。料理を作っている途中でとても良い匂いがしてきて、見ているだけで僕もお腹が空いてきました。おにぎりに巻いた海苔も、JF岡山漁連さんが提供してくれました。じつはJF岡山漁連さんでも、クロダイが海苔を食べ荒らしてしまう被害に悩まされているそうで、クロダイが食べておいしい魚だともっと知られていくと、せっかく獲ったクロダイも売れて、海苔の被害も減って両方にとっていいことだなと思いました。

低利用魚が本当に美味しいのか少し疑問に思ったりもしましたが、隊員たちがとても笑顔で美味しかったと言っていたので、とても羨ましく思いました。僕も食べたかったです。調理方法でこれだけ美味しく食べれるのに、低利用魚と呼ばれてしまって流通されていないのはとても勿体無いと思いました。

今回の講義のような活動が多くなり、低利用魚がどんどん普及し日本中の食卓に並んで欲しいと思います。

水産庁漁政部吉川さんによる「魚食普及の取り組みについて」の講義

まず、「水産庁って知っていますか?」と話が始まりました。

水産庁は、漁業者、研究者、行政等のいろんな立場の人たちと話し合い、みんなが魚を食べ続けられるように魚を獲るルールを決めているのだそうです。つぎに、魚の消費量が減っている理由について問いかけられました。理由として、骨が嫌とかニオイや味が気になるから食べない子が増えているそうです。また、大人は調理が面倒で買わない人が多くなっているそうです。

魚の消費量が減ると、魚の値段が下がり、儲からなくなるので魚を獲らなくなっていきます。養殖するとしても、養殖できる場所は限られているため、全てを養殖に頼ることはできません。日本の魚の消費量は減っていますが、世界の人口は増えていて、海外では魚の消費量が増えているようなので、輸入にばかり頼ることもできません。
このため、日本周辺の魚を獲り続けられるようにすることが大事だとお話しされました。そのために、たとえばクロマグロは獲る量を決めて、獲りすぎないようにしているし、網にたくさんのクロマグロが入ってしまうといけないのでクロマグロが脱出できるような網を開発している技術者もいます。漁業者は魚を食べ続けられるように、魚を獲りすぎず、育つ環境をよくするといったさまざまな活動をして、みんなに魚が届くようにしています。低利用魚も含めた魚の利用•消費を増やすことが大切です。と言っていました。

水産庁の方に初めてお会いして、水産庁の活動や未来に向けての取り組みなどのお話を直接聞くことができて、嬉しかったです。

魚が家庭で食べられていない理由として、子どもは骨が多くて食べづらいからといった理由は少し共感できます。でも魚料理はどれもとても美味しいので、調理方法を工夫したり、食べ方を工夫して魚を食べると良いと思います。

また、世界人口は増え続けていて日本以外では魚の消費量が年々増えているというデータにも驚きました。調理がめんどうくさいとか骨が多くて食べづらいというような理由で魚を食べていないのは日本だけなのかと思うと少し悲しいです。

毎月3〜7日は「さかなの日」です。いろんな魚を料理して食べてみる日にしてみませんか。
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