小鳥のヒナを見つけたらどうするべき? 都会暮らしのスズメの巣は超意外なところにある!

【ちょっとマニアな生きもののふしぎ】サイエンスライター・柴田佳秀先生が見つけた生きもののふしぎ

サイエンスライター:柴田 佳秀

スズメの巣はどこにある?

スズメの巣がある場所は…
春から夏の初めにかけては、鳥たちの子育てシーズンです。親鳥は、巣を作って卵を産み、誕生したヒナにエサを与えて育てます。もっとも身近な鳥であるスズメも、とうぜん今は子育ての真っ最中なんですが、皆さんはスズメの巣を見たことありますか?

スズメの巣ってこんなところにあるの!?

鳥の巣といえば、木の枝の上に小枝や枯れ草を組んでお皿のような形をした物を思い浮かべます。ところが、スズメの巣はそんな形ではありません。木の穴の中に枯れ草をつめたのが巣なんです。でも、街の中には木の穴なんてほとんどありませんから、スズメは樹木じゃない場所で穴を探して巣としてます。では、その穴はどこにあるのでしょうか。

それは電柱です。電柱には変圧器などの電気に関係する部品がいろいろつけられていますが、それを取り付けるアームに穴があいていて、そこに巣を作っているんです。あと、電線に黒い箱みたいなものがついているのを見たことがありますか? これは端子かんと呼ばれる配線と配線を接続するためのカバーなのですが、これがちょうど巣箱みたいになっているので、この中にもスズメがよく巣を作っていますね。
電柱に巣を作るスズメ
あと、道路標識にもスズメの巣があります。道路標識を支えるパイプが巣とするのにちょうどよい太さで、その中に枯れ草を入れて巣としています。パイプの穴の入り口をよく見ると、枯れ草がはみ出していることがありますが、それはスズメが巣を作ったからです。直射日光があたる電柱のアームや標識のパイプは、ものすごく暑くなりそうですが、温度を計測したところ、中はそれほど温度が高くならないので、その心配はないみたいです。
道路標識に巣を作るスズメ
一昔前、スズメの巣といえば屋根瓦の隙間に作るのが定番でした。ところが最近の家は、スズメが巣を作れそうな瓦屋根があまりありません。巣を作る場所がないのです。しかし、そこであきらめないのが都会暮らしが長いスズメのしたたかさ。電柱や道路標識といった新しいすみかを見つけてしっかりと生き抜いているのです。

小鳥のヒナが地面に落ちていたら?

さて、最後に皆さんにお願いなのですが、5月末〜6月ごろには、ちょうどスズメのヒナが巣立ちする時期です。

これはスズメに限らないのですが、小鳥のヒナはほとんど飛べない状態で巣から出てしまいます。ときには地面におりていることもありますが、これは巣から落ちたのではなく、正常な巣立ちですから心配いりません。必ず親鳥が近くにいますので、けっして助けようとしないでください。
巣立ちしたイソヒヨドリのヒナ。巣から落ちたのではないので、助けなくても大丈夫です。
助けてしまうと親鳥にとって誘拐と同じ事になってしまいます。もし、車が通る道路だったり、ネコが狙っているような状況であれば、近くにある植え込みなどに移動してあげてください。ちゃんと親鳥が面倒見るので大丈夫です。
写真提供/柴田佳秀

表紙のハシビロコウが目印! 話題の新訂版、発売中!

しばた よしひで

柴田 佳秀

Shibata Yoshihide
サイエンスライター

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。