精子はらせん状にぐるぐるすすむ

新しい命の誕生は、とても奇跡的なこと!

男性の精子と、女性の卵子が出会うことを、「受精(じゅせい)」といいます。
受精してできた受精卵が育っていくと、赤ちゃんになります。私たちはみんな、最初は受精卵だったのですね。

受精は、女性の体内にある、「卵管(らんかん)」でおきます。卵管の奥のほうから卵子がやってきて、卵管の出口のほうから泳いでやってくる精子と出会うのです。
じつは、精子にとってこの卵管を泳いでいくことは、たいへんきびしいものです。
というのは、卵管の内部には、出口にむかって体液が流れているのです。自分で動くことのできない卵子や受精卵を運んだり、異物が体内に入りこまないようにするためです。

小さな精子からすれば、卵管の中を流れる体液は、激流(げきりゅう)とよんでもよいくらい強い流れです。しかし、精子はその激流にさからって泳がないと、卵子までたどりつけません。
精子がどのようにしてこの激流に逆らって泳いでいっているのか、これまであまりわかっていませんでした。

最近になって実験がおこなわれ、くわしいことがわかりました。
精子は、卵管の壁づたいに、らせんを描きながら泳いでいたのです。壁ぎわは、卵管の中央部分にくらべて、流れが弱くなるため、小さな精子でもなんとか泳げます。さらに、らせんを描くことで、より泳ぎやすくなるのです。

こうして泳ぎきった精子のうちたった1つだけが卵子と出会います。
ただし、卵子はいつでも卵管にいるわけではありません。人間の場合だと、およそ1か月のうち1日だけ、卵管にいるのです。

新しい命の誕生は、とても奇跡的なことなのですね。

■関連:「人体のふしぎ」108-111ページ