獲物の動きを予測するトンボの脳!

トンボの目は、昆虫の中で最大!

トンボの目は、昆虫の中で最大といわれています。頭の半分ほどもある目は、レンズのはたらきをする六角形をした小さな目、個眼(こがん)が1万個以上集まってできています。これを複眼(ふくがん)といいます。トンボは、この複眼をもつことで、高い動体視力を発揮し、空中を飛ぶ獲物をとらえています。

ハワードヒューズ医学研究所などの研究グループは、トンボの動きがわかるセンサーをつけて追跡(ついせき)し、トンボは獲物の動きを「予測」して、獲物をとらえていることをつきとめました。

「予測」とは「これから何が起こるかを想像して動く」ことです。
たとえば、わたしたち人間は、オニごっこでオニになったら、ただ相手を追うだけではなく、相手がどの方向ににげるか考えて動いたりしますよね。
これは目から入った情報を、脳で処理してから動いているということです。

これまで、昆虫などの無脊椎動物は、このような「予測」ではなく、「獲物を目でとらえる」→「自動的におそいかかる」という行動をしていると考えられていました。
このような行動を「反射」といいます。
これは「予測」とはちがい、目から入った情報が直接体を動かすので、脳が情報処理をすることはありません。

ところが今回の実験では、獲物に合わせて動いているのは最後の瞬間だけでした。それまでは、頭は目がとらえた方向に自然に動いていましたが、体は獲物へ一番近づくように反応していました。
つまり、最後の瞬間だけは「反射」で、それまでは獲物の動きを「予測」していたのです。

実験の結果、トンボは、目でとらえた情報だけではなく、脳の情報処理をおこなって、獲物の動きを「予測」していることがわかりました。
※画像はイメージです。


・脊椎動物(せきついどうぶつ:動物の分類のひとつ。魚類、両生類、は虫類、鳥類、ほ乳類)は、目などからはいってきた情報は脳で処理されたあとに、体を動かしていると考えられています。

・無脊椎動物(むせきついどうぶつ:脊椎動物以外。甲殻類なども)の動きは目などから入ってきた情報が直接体を動かす、「反射」であると考えられていました。



■関連ページ 「昆虫」トンボのなかま 138-149