マンホールのふたはなぜ丸いの? ~身近にある物のかたちの謎を解き明かそう!~

物のかたち図鑑 チャプター1 ○の秘密 ~マンホールのかたち~

テレビマガジン編集部

物にはいろんなかたちがありますね。すこし周りを見わたしてもビルは四角ですし、電車も四角、バスも四角、郵便ポストも四角いし、街の中には四角いかたちをした物が多いですね。

でも、よく見るとお家の屋根は三角形もあります。車のタイヤは丸、道路標識は丸や三角、いろいろありますね。

なぜ物にはいろいろなかたちがあるのでしょう。そう思ったことはありませんか?

電車やビルのかたちが四角いのは当たり前、そう片づけてしまう前に、ちょっと考えてみませんか。なぜこういうかたちをしているのかなと。

物のかたちにはそれぞれにそうなっている理由があります。理由がわかると、普段見慣れた物でもなんだか違って見えてきますよ。

なぜこれはこのかたちをしているか、これからその理由について主に科学的な面から謎解きをしていきます。

「かたち」の謎、まず1回目は、丸のかたちをした物の謎です。さあ、身近な物のかたちの謎を明らかにしていきましょう。

丸い形の謎 マンホールのふたはなぜ丸いの?

自然界には丸いかたちがあふれています。そもそも私たちの地球が丸い、月も丸いし太陽も丸いかたちです。リンゴやミカンも丸いですし、スイカも丸い。

一方、街の中には案外丸いかたちの物は多くありません。車や自転車のタイヤ、信号機、ガスタンク……、おっと、街の中にいくつもある丸いかたちをした物がありました!

道を歩いていると、あちこちで見かけるマンホールです。
表面に滑り止めのボツボツがある下水道マンホールのふた。合流とは汚水と雨水が流れているという意味。  写真提供 東京都下水道局
すべての画像を見る(全10枚)
マンホールのふたには、鉄もあれば、コンクリートのふたもありますが、だいたい丸いかたちのふたをしています。

マンホールのふたが丸いのは、マンホールの穴が丸いかたちをしているからですが、なぜ丸いのでしょうか。

それにはちゃんとした理由があります。いちばんの理由は、ふたがズレてマンホールの穴の中へ落ちてしまわないためです。

四角い穴に四角いふただと、ズレて斜めになったときには、四角形の対角線は四角の一辺よりも長いですから、対角線のところからふたは穴の中へ落ちてしまいます。
(人が中にいるとき)四角いふただと落ちて危ない。
ふたが穴の中へ落ちると、中で作業している人がいたら危ないですし、道路に大きな穴が開いたままになったら、人も車も危険ですよね。

重いふたを上まで引き上げるのも大変です。

でも丸いふたは、どれだけ斜めにズレても、穴に落ちたりしません。マンホールの丸い穴の直径は360度同じ長さですから、同じ丸い形をしたマンホールのふたの直径が同じかちょっと大きければ、ふたが穴には落ちることはないのです。

マンホールのふたは、マンホールに落ちない安全なかたちをしているのです。

四角いマンホールのふたもある?

でも、すべてのマンホールが丸いかというと、必ずしもそうではありません。道路をよく見るとときどき四角いふたも見かけます。

四角い理由は、ふたが落ちても危険じゃない浅いマンホールであること。歩道の端にあるので、ふたが開いてても通行の邪魔にならないこと。また、配線などが下の箱に収まっているので、四角いふたを開けて点検・修理するほうが作業しやすいということがあるようです。

それ以外の理由で、四角だったふたもあります。

昔は消防用のマンホール(消火栓)のふたは四角でした。消防用のマンホールの下には消火栓があります。消防車が駆けつけたときには、この消火栓から取水するので、ふたを他のマンホールと違うかたちにすることで、すぐに見つかるようにしていたのです。
四角い消火栓マンホールのふた。  写真提供 東京都水道局
でも四角いとガタツキもあり、消火栓のマンホールもいまはだんだん丸いかたちに統一されてきているので、古いマンホールが残っている街でないと、四角い消火栓のマンホールを見ることはありません。
丸い消火栓マンホールのふた。  写真提供 日之出水道機器
マンホールのふたには、それが汚水用か雨水用か、ガスか電気か、消火栓かわかるように、文字やマークが彫り込まれています。とくに消火栓は大きな文字とマークで、そして色ですぐわかるようになっています。
ガス管マンホールのふた。  写真提供 東京ガスネットワーク
道を歩いていてマンホールを見つけたら、それが何のマンホールか確かめてみましょう。

ただし車道の真ん中にあるマンホールは危険なので、歩道にあるマンホールのふただけにしてくださいね。
丸いかたちの謎のこたえ ふたが丸いとズレてもマンホールの穴へ落ちないから!

『物のかたち図鑑』発売中!

公開中の「マンホールはなぜ丸いのか?」「ヨットの帆はなぜ三角なのか?」などのほか、新しいかたちの謎も加わり、大ボリュームの内容になっています。大手企業のご協力も得て、写真、図版も満載! 大人も子どもも楽しめる一冊です。
次回は三角のかたちについての謎です。

●関連記事

●この記事を読んだあなたへオススメの本

『世界一おおきいのりもの図鑑』定価:本体1800円(税別)世界一大きい乗り物って、どんなものでしょう? 「世界一大きい自動車」「世界一大きい船」「世界一大きいブルドーザー」……。この本には大人と子どもの好奇心をくすぐる、世界一の大きい乗り物しか載ってません。大人も子どももアツくなれる乗り物写真集です。
この記事の画像をもっと見る(10枚)
てれびまがじんへんしゅうぶ

テレビマガジン編集部

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga  Instagram:@tele_maga

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga  Instagram:@tele_maga