キノコを育てるアリ『ハキリアリ』<前編>

モンスターハンター平坂寛の びっくり! 生きもの烈伝

写真:平坂寛『モンスターハンター平坂寛の びっくり! 生きもの烈伝』
【えっ!?葉っぱが歩いてる!】

ブラジルの街を歩いていて不思議なものを見つけた。

葉っぱや花びらが一列にならんでちょこちょこと行進しているのだ。
「なんじゃこりゃあ?」と目をこらすと、その正体がわかった。ハキリアリだ。
は、葉っぱの行進…!?
ハキリアリはその名のとおり葉っぱを切りとって巣に持ち帰るとちうちょっと変わったアリだ。
他のアリのように甘いものにあつまったり虫をおそったりすることはない。ひたすら葉っぱや花びら、草のタネなんかを切って、あつめて、持ち帰る。
木の葉も、草の葉も、地面に落ちた葉も、目についた葉っぱは手当たりしだいに切っては運ぶ
葉だけでなく花や芽、草の実なども持っていくぞ。
ハキリアリが通ったあとは草がキレイに刈られて道ができる。

【集めた葉っぱでキノコを作る】

ヘェ〜、植物しか食べないベジタリアンなアリなんだ〜。と、思うかもしれないがちょっと違う。

ハキリアリは集めた植物を食べるわけではなく、それにキノコの菌を植えつけて育てる。
つまり自分たちで栽培したキノコを収穫して食べているのだ。

人間以外にも農業をする生物がいるなんて。これだから昆虫は、これだからアリはおもしろいよね。


<後編へ続く…!>
次回は「ほかのアリとも仲がいい?」ハキリアリの生態に迫る!