本当にキケン? 巨大古代魚『アリゲーターガー』<後編>
2018.11.06
世界最大級の淡水魚、『アリゲーターガー』の細長い体の後ろにはせびれ、しりびれ、おびれが集まっていてまるでロケットのよう。
たしかにアリゲーターガーはロケットのようにまっすぐ泳ぐのは得意だ。けれど、それ以外の動きはとても苦手で、特に小回りがきかない。泳ぐことに関してはかなり不器用な魚といえるだろう。
動きがぎこちないワケとしてはその体をおおうヨロイのようなウロコも原因になっていそうだ。
アリゲーターガーのウロコは『ガノイン鱗(りん)』というふつうの魚のそれとはちがうもので、とても厚くてカタい。そのカタさはナイフが刺さらないほど。刃が折れる。
きっと同じ場所にすむワニやワニガメといった強いアゴを持った肉食動物から身を守るためのものだろう。
そりゃ日本に来たら敵なしだよね…。
それにしても『ガーの巣』はすごい。次から次にアリゲーターガーが釣れる。
でもせっかくアメリカまで来たのだから狙うのは人を襲えそうなサイズ。少なくとも僕の身長よりも大きい2メートル級を捕まえてやる!
いちばん大きなコイの頭を丸ごと放りこみ、息をひそめて待つ。待つ待つ…。
そしてその時はきた!釣りざおがミシミシと音を立てて曲がる。ズバン!と人が飛び込んだような水しぶきが上がる。大物がきたぞー!
デカすぎる!とても素手では引き上げられないし、かといってネットにも入らない。そこでロープで体をしばり、岸辺に引きずり上げる。
…しかし、2メートルを超える大物を目の前にしてもいまいち『人食い』のウワサについてはピンとこない。
だってさー?人間にかみついたとしても、やっぱりこの歯じゃ肉をかみちぎったりできないよ。なら人間を丸のみする?もっとムリだよね…。クジラなみにデカいならまだしも。
肉食魚のアリゲーターガーといえど、どうがんばっても食べられないようなサイズのエサに襲いかかるようなことはしないだろう。もっと食べやすい小魚やザリガニなんかのほうがいいに決まってる。
僕も『ガーの巣』のど真ん中で毎日泳いでたけどかじられもしなかったしね。
アリゲーターガーのあまりの大きさ、恐ろしげな顔つきからイメージされた根も葉もないウワサにすぎなかったのだ。
そんなホントのところがわかってよかった。そしてアリゲーターガー、超かっこよかったぜぇ…
ちなみに、アリゲーターガーたちがひしめく中で毎日さんざん泳いだけど、一度もかみつかれることはなかった。やはり、まずめったなことでは人を襲ったりはしないようだ。
今回おとずれたテキサスの川にはアリゲーターガーのほかにもガーの仲間がくらしている。スポッテッドガーとロングノーズガーだ。
どちらもアリゲーターガーとはまた違った良さのあるカッコいい魚だ。
この記事でガーや古代魚に興味を持ってくれた人はぜひいつかアメリカまで彼らに会いに行ってみてほしい。
まるでジュラ紀の水辺にタイムスリップしたような気分になれるぞ!