第6絶滅期の今、自分にできることは? 図鑑MOVEの中学生研究員が地球を守るためにイベントを実施!
MOVEラボ研究員・助手のはるきが立案・実施したSDGsプロジェクトを報告
2024.05.21
みんなで昆虫を好きになり、緑を守れる社会にしたい!
はるきが注目したのは「昆虫」。幼少期から大好きだという昆虫をきっかけに、SDGsにつながる活動を独自で考えてみました。受賞したプロジェクトを振り返りつつ、内容を紹介していきます。
ワニの研究を自身でも行う、MOVEラボ・助手のはるきがレポート!
〈MOVEラボ研究員とは?〉
MOVEラボ研究員は、厳正な選考によって選ばれた、生きものや自然科学に興味のあるMOVE読者の代表です。研究員は、MOVEラボの活動に参加し、フィールドや博物館、動物園などをリアルに楽しみます。また、ラボの研究員は、自分たちの研究レポートをMOVEラボのサイト上で発表します。
メンバーは現在24名! 中学生以上は「助手」として活動しているよ!
https://lab.zukan-move.kodansha.co.jp/
いてもたってもいられない! SDGs活動をしようと思ったきっかけとは?
その話の中でとても衝撃を受けたのは「地球は今、第6絶滅期」だという内容です。地球はこれまでにビッグファイブと呼ばれる5回の大量絶滅を繰り返し、今に至っています。
1回目はオルドビス期後期に起こった三葉虫などの大量絶滅から始まり、
2回目のデボン紀後期
3回目のペルム紀
4回目は三畳紀のアンモナイト大量絶滅
5回目は、今から6600万年前、白亜紀後期に起こった有名な隕石落下による恐竜の大量絶滅です。
そして今、地球温暖化により地球上の100万種の生物が絶滅の危機であり、6回目の大量絶滅へ向かっていると言われているそうです。講演会でそれを聞いて、地球温暖化による環境の変化や地球を守る活動に興味を持ちました。
友だちの多くがムシ嫌いに! どうして昆虫が苦手になってしまうのだろう?
僕は小さいころから昆虫も大好きです。保育園の外遊びのとき、友達と園庭でずっと虫採りをしていました。今でも休みの日に昆虫採集をしたり、家でカブトムシを幼虫から育てたりしています。
しかし夏にセミ採りをしていて、毎年残念に感じることがあります。それは、小さい子供たちが網を持ってセミ採りをしている姿を年々、見かけなくなっていることです。
コロナ禍や猛暑だったことも関係するかもしれませんが、家の中で遊べるものが増えた現在、季節を感じながら昆虫採集を楽しんでいる子が少なくなっているのではないかと感じました。
実際に、保育園時代に僕と一緒に昆虫採集をしていた友だちや、小学校低学年のときに一緒に昆虫の話をしていた友だちは、年齢が大きくなっていくにつれて、いつの間にか昆虫を気持ち悪がるようになり、触ることもできくなっていきました。
僕は一人ずつそうなっていくのを見て、とても悲しかったです。でもそれはどうしてだろう、大きくなるにつれて自然への興味が薄れてしまう原因がどこかにあるのではないかと考えるようになりました。
大きくなるとなぜ昆虫に触れられなくなるのかを考えたきっかけに、MOVEラボ研究員としての活動があります。
さらにSDGsに関するレポートを作成し、研究員同士で発表をしあう企画があり、僕はベルクマンの法則と地球温暖化についての発表をしました。他の研究員の子たちは海のプラごみに関する話や、動植物の生態系に関する発表があり、普段から緑や自然を守る地域活動をしていることもわかりました。
僕も家の庭に昆虫が住み着いて観察ができるようにプランターに花を植えたり、バッタの季節には住み着いたバッタが食事ができるように家の周りの緑を増やしていることに気がつきました。昆虫をいつの間にか嫌いになってしまうのと、好きなまま大きくなるのと、何が違うのか疑問に思っていましたが、昆虫と触れあうことが少なくなってしまうから嫌いになってしまう、逆に昆虫や生物を身近に感じていると、緑を増やし地球環境を守る意識が芽生えるのではないかと思い至りました。
この2つの提案を2023年の夏、プロジェクトに応募しました。
提案① 移動昆虫館で昆虫と触れ合おう
小さいころから箕面市や伊丹市の昆虫館によく行っていて、そこで外国のカブトムシやクワガタ、巨大なナナフシや山に生息するゴキブリなど、普段触れない昆虫を触らせてもらっていました。学芸員の方やボランティアの方たちに昆虫の触り方や持ち方を教えてもらい、展示パネルで名前や生態を覚えていました。
昆虫館は動物園や水族館と違って、昆虫が好きでないとなかなか行かない場所です。
保育園の行事などで楽しい思い出の一つである移動動物園のように、僕は、近隣の昆虫館から出張してもらい移動昆虫館のようなイベントを開催できたらなと考えました。普段、昆虫に触る機会のない子たちには、まずは昆虫を近くで見てもらい、昆虫のことを知ってもらいたいと思ったからです。
親が昆虫を怖がったり気持ち悪がったりしたら、その子どもは絶対昆虫が嫌いになってしまいます。ですので親にも興味を持ってもらいたいとも考えました。
そのイベントで僕は解説ボランティアとして昆虫の凄技や生態を伝える側となり、子どもたちに生きものの命の大切さや緑を大切にする必要性を教えたいと考えました。
提案② 昆虫食を経験してみよう
そこで、世界が注目しているのが昆虫食です。
昆虫は高タンパクで栄養価も高く、比較的安い費用で飼育可能であり、場所もとらず、地球温暖化対策として研究が進んでいます。実際、この日本でも企業がいち早く昆虫の栄養素を入れた食べ物を販売し、SDGsの取り組みとしてニュースにもなりました。
今回、昆虫を食べることを主とするというよりは、昆虫が小さい体に持っているパワーを知ること、また、命を頂くということはどういうことかも伝えながら昆虫食を提案しました。
僕の企画が採用され、3月に実施しました!
さらに驚いたのは実行委員会の方々があっという間に箕面公園昆虫館に問い合わせ、実際に昆虫との触れ合いができるかどうか、「昆Tuber」として活動されている方に昆虫食の話や試食をできるかどうか、話を進めてくださっていました。
あれよあれよという間に、自分の企画が実施の方向へ進み始めました。
イベントは大盛況! 解説ボランティアとして活動しました!
僕も企画立案者として挨拶をさせてもらいました。いちばん伝えたかった今回の企画の趣旨である、昆虫といつも触れ合える環境を作りたかったこと、昆虫を好きになって緑を守り、地球を大切に思える子になってほしいこと、また保護者が昆虫を気持ち悪いと言わずにじっと見守ってあげてほしいことを話しました。
僕自身もヘラクレスオオカブトを実際に触ったことがなかったのでとても興奮していました。また、今回、箕面公園昆虫館から来てくれていたヘラクレスオオカブトは去年成虫になって今まで触れ合いをたくさんしてきたおじいちゃん個体だと聞いたので、子どもたちに「おじいちゃんだからゆっくり触ってあげてね」と、丁寧に触るように説明しました。
子どもたちからもいろんな質問が出てきて、知ってることは自分で答え、知らないことは昆虫館の方に教えてもらいました。中には僕も知らないヘラクレスオオカブトに関する知識を教えてくれる子もいて、すごいなと感心しましたし、僕もまだまだだなと実感しました。
昆虫食を試食できたよーと言ってる子、「意外といけた!」「おいしい!」という子、「やっぱり食べられなかった」と言う子、さまざまな意見を聞かせてくれました。
ただ美味しいだけで終わることなく、昆虫食がなぜ今話題になっているのか、地球温暖化やSDGsに少しでも興味を持って行動するよう今回のことを覚えてくれていたらいいなと思います。
また、昆Tuberの清水さんが説明してくれていた、代替食として昆虫食を取り入れることにより、牛などから排出される二酸化炭素の量を減らせる、ということもしっかり学べていたら、今回「こん虫フェスティバル」をした甲斐があったなと思います。
子どもたちがどうしたら昆虫を好きになってくれるのか?
小さいころから愛読しているMOVE図鑑の「昆虫」を見て作ってみました。
大人の行動力、すげー!
これからもこのようなイベントを企画して実行できるように努力していこうと思います!
写真・文/横井晴輝(MOVEラボ研究員)