えものを感知するスゴ技!? (EX MOVE 深海の生きもの)P24に関連
2017.05.26
〈まるで三脚のようなひれ!〉
深海生物のなかには、積極的に泳いで狩りをする生物もいれば、体力を節約しながらえものがくるのをじっと待っている生物もいます。
オオイトヒキイワシは、待ちぶせ型の戦略をとる深海魚です。
まるで3本の脚で海底に立っているような姿ですが、脚に見えるものは、2本の腹びれと尾びれの一部が細長く変化したものです。
ふだんはこのひれで体を軽く海底に固定し、あまり動かずにじっとしています。
海底より高いところから周りを見わたせるので、遠くのえものも見つけやすいようです。
〈アンテナでえものを感知!〉
さらに、オオイトヒキイワシはえものを感知するアンテナをもっています。
大きく広げている胸びれの上部は、糸のように細長くのびています。
ひれには神経が走っているため、これが流れにのってくるプランクトンなどのえものを感知するアンテナとしてはたらくのです。
どのようにしてえものを口に運ぶのかは、くわしくわかっていません。
のんびり待ちぶせ型のオオイトヒキイワシですが、いざというときはすばやく泳ぐこともあります。
深海で撮影された映像では、はじめは海底にじっと立っていましたが、調査船がちかづくと突然海底をはなれ、一瞬にして泳ぎ去っていきました。
ひれのアンテナで、えものだけではなく危険もしっかり感じとっているようです。
オオイトヒキイワシは、日本語では「三脚魚(さんきゃくうお)」というあだ名で呼ばれることもあります。
いっぽう、学名(生きものの世界共通の名前)は Bathypterois grallator といい、grallator には「竹馬」という意味があります。
長いひれで体をささえる姿が、高い竹馬に乗っているように見えたことから名づけられたのでしょう。