マッコウクジラはどうして深海にもぐれるの?(EX MOVE 深海の生きもの)P23に関連
2018.07.21
◆マッコウクジラはヒトと同じほ乳類◆
歯のある生きものの中でもっとも巨大なマッコウクジラ。
巨大な体をささえる食べものは、ダイオウイカなどの深海生物です。
マッコウクジラは深海で狩りをするために表層と深海を行き来します。
水深1000mまで約10分でもぐるといわれ、生涯の3分の2の時間を深海での狩りについやすという説もあります。
マッコウクジラは私たちヒトと同じほ乳類のなかまです。
ヒトは、道具を使わない素潜りではどんなにがんばっても120m程度が限界です。
ほ乳類のマッコウクジラがなぜ深海にもぐることができるのでしょうか?
マッコウクジラの全身の筋肉には、ミオグロビンというタンパク質が多くふくまれています。
このタンパク質は、血液中のヘモグロビンから受け取った酸素をたくわえておくことができます。
水面で取りこんだ酸素をたくわえて、体のすみずみに行き渡らせることで、長い間息つぎしないでもぐりつづけられるのです。
<もぐるためのくふう>
また、はっきりとはわかっていませんが、マッコウクジラの頭につまっている「脳油」という油が潜水に役立っているという説もあります。
脳油はマッコウクジラの体温下では液体ですが、冷やすと固まります。
もぐる前に体内に海水を取り入れて、脳油を冷やし固めて密度を大きくし、それを重りにしてもぐるのかもしれないと言われています。
<なぞだらけの潜水上手のクジラ>
潜水上手なクジラはほかにもいます。
アカボウクジラ科のなかまです。
ほとんどの種がおもに陸地から遠くはなれた海にすんでいるため、観察例が少なくくわしい生態はわかっていません。
マッコウクジラの潜水は長くても90分ほどですが、アカボウクジラはなんと138分間、水深2982mまでもぐったという記録があります。
これほど深くもぐるには高い圧力に耐えるための特殊な体の構造が必要なはずですが、アカボウクジラがどのようにして深海への潜水に適応しているのかはまだわかっていません。