まるでサバンナの野生動物のよう!動物学者もおすすめの動物園【のんほいパーク】を訪問

〈新連載〉ドリトル柴田の「動物園に行ってみた!」vol.2 (2/2) 1ページ目に戻る

科学ジャーナリスト:柴田 佳秀

のんほいパークといえばマンドリル

のんほいパークへ行ったら、ぜひ見てみたかったのがマンドリルです。マンドリルって、知っていますか? すごい色してますよね。

マンドリルは、アフリカ中西部の熱帯雨林にすむ大型のサルで、オスの顔とお尻が鮮やかな色なのが大きな特徴。発情するとさらに色鮮やかになり、メスにアピールするんだそうです。
あまりにも色鮮やかなので、たいていのお客さんが「ナニコレ!」と言います。
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マンドリルは、いろんな動物園にいるので、ここでないと見られないわけではありませんが、のんほいパークのマンドリルは格別なんです。

なにしろ、日本最大級のマンドリル舎で飼育されていると聞いていたので、一見の価値があるわけです。
聞きしに勝る立派なマンドリル舎
さっそく、マンドリル舎を見てみましょう。
飼育施設の広さは、正直なところ圧倒されるほどではありませんでしたが、それでもこれまで見てきた中ではトップクラスの待遇です。野生のマンドリルは、なんと800頭もの大集団で暮らすことがあり、これはサルの仲間では最大規模なのだそうです。

のんほいパークでは、そんなマンドリルの習性に配慮し、複数の個体を一緒に飼育できるよう、日本の動物園でも最大級の規模を誇る施設を整えています。施設内には3つの展示場と8つの寝室があり、複数の群れをそれぞれ別々の展示場で生活させることができるようになっているのです。
この展示場には、オスとメスのペアがいました。
動物園には、絶滅の心配がある動物たちを守るために、繁殖を通じて命をつなぐという大切な役割があります。マンドリルは、のんほいパークで力を入れている動物のひとつで、ここではすでに新しい命が生まれています。

また、のんほいパークは、全国の動物園で飼われているマンドリルたちの繁殖や血統の管理を調整する、いわばまとめ役のような立場も担っているそうです。
こちらは若いマンドリルの展示場
容器の中にあるエサを取り出す。退屈させない工夫のひとつで、お客さんからは、中の様子が見られるようになっています。

和鳥も見逃せません!

マンドリルの他にも、私はどうしても見ておきたいものがありました。それが「バードエリア 野鳥園」です。
野鳥園。ウグイスやコマドリなどの野鳥をガラス越しで見ることができます。
ここでは、ウグイスやコマドリなど、日本に暮らす野鳥たち――いわゆる「和鳥(わちょう)」が展示されています。しかも、ただ見せているだけではありません。繁殖にも力を入れていて、その成果もバッチリ。

今では、「和鳥の飼育と繁殖といえば、やっぱりのんほいパーク!」と言われるほどの実力を持つ、ちょっとすごい動物園なんです。
野生には帰れないケガをしたハヤブサ。
実は、和鳥を増やすのって、なかなか大変なんです。ケージの中で巣を作らせて、卵を産ませて、ヒナを無事に巣立たせるまでには、かなりの経験と技術が必要。人工的に卵をかえして、ヒナを人の手で育てる方法もありますが、これもとても繊細な作業です。

のんほいパークでは、昔からこうした和鳥の飼育と繁殖に取り組んできていて、まさに“職人技”とも言える伝統が受け継がれているんです。

そして今、特に力を入れているのが「アカモズ」という小鳥。夏になると日本にやって来て、子育てをするかわいい鳥ですが、なんと今は全国でたった200羽ほどしかいないと言われていて、絶滅が心配されています。そんなアカモズを未来に残すために、スタッフの皆さんが日々がんばっているんですよ。
のんほいパークで生まれたアカモズ
のんほいパークでは、2023年から大学や研究グループとタッグを組んで、アカモズの人工孵化やヒナの子育てにチャレンジしています。これまでに、何羽ものヒナを無事に育て上げることに成功しているそうです。

目指しているのは、動物園で育てたアカモズを将来は自然に帰して、絶滅の心配がないくらい数にまで増やすこと。そのためにも、今アカモズが置かれている厳しい状況を、もっと多くの人に知ってもらいたい――。そんな願いがスタッフの皆さんからひしひしと伝わってきて、「なんとか守ってあげたいなあ」と思わずにはいられませんでした。
アカモズのことを知ってもらうための掲示物。多くの人に届くと良いですね。

何度も通いたくなるのんほいパーク

広〜い敷地に、たくさんの動物たちがのびのびと暮らしている、のんほいパーク。閉園ぎりぎりまで楽しんで、最後に門を出たときにスマホの歩数計を見てびっくり。なんと2万7000歩も歩いていました!

それでも、ぜんぶの動物をじっくり見るにはまったく時間が足りず、「あっちも見たかった、こっちも気になる!」と名残惜しい気持ちに。今度来たときは、あそこにも寄りたいな、もっとゆっくり見て回りたいな……なんて思いながら園をあとにしました。

とにかく、何度でも通いたくなる魅力がぎゅっとつまった動物園。それが、のんほいパークなんです。(取材:2024年11月6日)
水中を泳ぐホッキョクグマは大迫力!
園内にある自然史博物館もおすすめ。
遊園地もあるので小さなお子さんでも楽しめます!

写真・文/柴田 佳秀

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しばた よしひで

柴田 佳秀

Shibata Yoshihide
サイエンスライター

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。