これまでに登場したトランスフォーマーは、同じ名前を持つキャラクターも含めると国内展開した物だけで1000体を超え、玩具では何度も過去作のリメイクが行われています。ロボットでありキャラクターでもあるトランスフォーマーには、一般的なロボットアニメにはない独自の魅力があります。
今回はそんなトランスフォーマーを振り返ってみましょう。
そもそもトランスフォーマーとは?
ハズブロはマーベルコミックに世界観やキャラクター設定を依頼し、「ダイアクロン」後期の商品である、実在するリアルな車(一部例外あり)からロボットに変形する「カーロボット」シリーズと、「ミクロマン」のラジカセやカメラといった身近な物がロボットに変形する「ミクロチェンジシリーズ」をひとつにまとめ、トランスフォーマーとして転生させました。
こうして1984年からアメリカで展開したトランスフォーマーは大ヒット。翌1985年に日本に凱旋帰国し、既にダイアクロン、ミクロマンとして商品が発売していたにもかかわらず子供たちを虜にするのでした。
魅力1! 全員が主人公!
例えば、第24話「ネガベイダーを奪え!」ではあまり出番の多くないアラートとインフェルノが主人公。頭脳であるブレインサーキットに異常をきたし仲間を信じられなくなったアラートと、彼を心配するインフェルノの物語で、ふたりの関係性が描かれます。
アラートは消防指揮車に、インフェルノは消防車に変形し、モチーフにも関連性がある組み合わせというのがおもしろい点でもあります。
個々のキャラクターとしてみても、小柄で陽気な性格のバンブル、発言が危ういアイアンハイド、暴君だけど意外に優しいメガトロン、野心家でニヒルな二枚目だけど最終的に痛い目に合うスタースクリームetc キャラクターそれぞれに魅力があり、彼らが変形するビークルの種類も多様でした。
当時の子どもたちは、デザインやアニメでのキャラクター性、玩具のギミックや変形するビークルのモチーフなど様々な点から自分だけの「推しトランスフォーマー」を見つけたことでしょう。現在でも、お気に入りのキャラクターや玩具は、各陣営のリーダー以外のキャラだという人は多いのではないでしょうか。
魅力2! 敵キャラも多彩!
アニメでのストーリー面でも、例えば第39話「トリプル・チェンジャーの反乱」は完全な悪のデストロン回。
スタースクリーム、ブリッツウイング、アストロトレインの3人はメガトロンに反逆し、デストロンを束ねようとしますが、ブリッツウイングとアストロトレインはスタースクリームのことも疎ましく思っており、メガトロンと一緒にスタースクリームも罠にはめてしまいます。
すると、今度はブリッツウイングとアストロトレインが張り合いはじめ……。そんなデストロンたちの内輪もめをサイバトロンは傍観していました。
また、ギミック面ではデストロンが優遇されていることが多く、合体兵士や3段変形をするトリプルチェンジャーの投入もデストロンが先でした。
アニメ第2作の『戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー2010』の放送中には「デストロンの逆襲」と銘打ちキャンペーンが行われ、定価11000円という当時の最高額商品のプレダキングが発売。この「敵キャラクターが商品として成り立つ」という現象は、ウルトラ怪獣やガンダムといったごく少数のコンテンツでしか成しえません。