俳優・佐々木蔵之介「ドラマ『マイホームヒーロー』は“ヒーロー”と“犯罪者”の揺れ幅が見どころ」感じた座長としての責任とは?
ドラマ『マイホームヒーロー』主演・佐々木蔵之介さんインタビューVol.2
2023.10.24
ライター:小川 聖子
Ane♡ひめ.netでは、佐々木さんに全2回にわけてインタビュー。Vol.2では、引き続きドラマについてとともに、共演者さんや後輩世代との関わりについて聞きました。
全員が実力を発揮できる雰囲気を作っていきたい
佐々木さん:現場で最初に会ったときに、あまりにもはっきり「人見知りです」と言うので驚きました。でもおかげですぐに人となりが摑めました(笑)。しっかりと恭一という役を考えてきて、現場で試行錯誤しながらも、手応えを摑んだり、細かく反省を繰り返し、どうしようかと一生懸命悩んでいる姿が印象的でしたね。
それから、集中していくときに自然にリズムを刻んだり、体を動かしている姿を見て、俳優という仕事をしながらも、彼の本質はそんなアイドルとして(鍛錬を積んできた)の部分にあるのかもな? みたいなことをも考えました。そうやって身体で思考し、調整するというやり方は、自分には全くないものだったので新鮮でしたね。
──とても細かく見ていらっしゃるのですね。年齢を重ねると、後輩など若い人たちと関わり方に悩む場合もありますが、佐々木さんと高橋さんは同時に取材を受けられていた際も、心地よい関係を築いているようでした。何かコツのようなものはありますか。
佐々木さん:映像でも舞台でも、お芝居をするときというのは、同じ板の上に全員が並ぶので、誰が先輩で後輩で……みたいなことはなくなります。僕も『マイホームヒーロー』のドラマの中では、恭平に対して敬語ですし、殴られたりもします(笑)。先輩でも後輩でも、お芝居の中では関係ない……という意識は特に僕たちの世界では大きいかもしれません。
さらに言えば、若い世代に気づかされたり、学んだりということは多々あります。YouTubeだったり、TikTokなどのSNSに慣れている分、カメラが回っていることを意識せず、自然に振る舞える人が多いですし、ひとりでカメラに向かって喋ることにも物怖じしない。
そういうことは僕たちの世代はしてこなかったので、やっぱりカメラが回ると意識するし、身構える。スタイルが違うなと思います。親子だって、子どもから学ぶことがあり、そこから親になるといいますよね。それと同じで、僕も学べるところは学びたいし、頼れるところは頼りたい。お互いが認め合い、敬意を払っていきたいなと思っています。
佐々木さん:人って緊張しすぎると、本来の実力を発揮しきれない場合があるじゃないですか。だから現場の不必要な緊張感は取り除いて、みんながしっかりと実力を発揮できる雰囲気を作っていきたいと思っていました。
もちろん締めるところは締めなければいけませんが、現場は穏やかが一番! 今作のような、血みどろでギスギスしたドラマでも、それは変わりません。ただ、僕ももちろん最初からこんなことを意識できていたわけではなく、たくさんの作品を経験して、先輩やお客さまに教えていただいてきたおかげで、心がけられるようになってきたのだと思っています。
ヒーローと犯罪者、その「振れ幅」が見どころです
佐々木さん:木村さんは、僕が犯罪を犯したと分かってからも、怯まずずっと味方で寄り添ってくれる妻役だったのですが、役と離れたところでも僕の体調を心配してくれました。とにかく僕は毎日血だらけでボロボロだったんで……それがとてもありがたかったですね。
娘役の飛鳥ちゃんとは……そうですね、娘とのシーンだけはこのドラマの中でとても穏やかで良かったです。犯罪組織たちとのピリピリしたシーンと比べて、家族仲は良いという、そんな雰囲気も出ているんじゃないかと思います。
──幸せな感じが伝わってきました。ただその分、「実際こんなことに巻き込まれたらどうしよう」、「自分だったら、娘のためにここまでできるだろうか」という恐怖がリアルで。
佐々木さん:そうですね。いくら娘のため、衝動的なことだったとはいえ、殺人は違うし、さらに隠蔽なんてありえないです。でもそこはエンタメなので……(笑)。「エンタメで良かった!」という、そのハラハラ感を楽しんでいただければいいかなと思っています。
──本当にフィクションで良かったです(笑)。最後に作品を見られる方にメッセージをお願いできますでしょうか。
佐々木さん:このドラマの一番の見どころは「振れ幅」だと思っています。主人公の鳥栖哲雄は犯罪者ですが、家族にとってはタイトルどおり「ヒーロー」。
何しろ、9割がたピンチに見舞われながらも、家族への愛情と、知恵と勇気で打開ルートを切り開き、家族を守っているのですから。ただ、何が正義なのか、何が悪なのかは非常にグレーで、哲雄の中でもその定義は揺れ動きます。そんな彼の「振れ幅」を、みなさんはどう感じるのか。
家族への愛情に突き動かされ、頭も身体もフル回転で動き続ける哲雄と、1秒先がどうなるかわからないストーリー展開を見続けて応援してくだされば嬉しいです。
佐々木蔵之介(ささき・くらのすけ)
1968年2月4日生まれ。京都府出身。俳優。1990年、大学在学中に劇団「惑星ピスタチオ」の旗揚げに参加。2000年、NHKでは初出演作となった連続テレビ小説『オードリー』で注目を集め、以後、演技派として映像作品から舞台まで幅広く活躍する。
2005年には自身がプロデュースを務める演劇ユニットTeam申を立ち上げた。主な出演映画に「間宮兄弟」「アフタースクール」「超高速!参勤交代」シリーズ、「破門 ふたりのヤクビョーガミ」「3月のライオン」前後編、「嘘八百」シリーズなど。ドラマ・映画化される「マイホームヒーロー」に主演。2024年度の大河ドラマ「光る君へ」にも出演予定。
ドラマイズム「マイホームヒーロー」
原作・漫画:山川直輝・朝基まさし『マイホームヒーロー』(講談社「週刊ヤングマガジン」連載)
出演:佐々木蔵之介、高橋恭平(なにわ男子)、齋藤飛鳥、淵上泰史、内藤秀一郎、音尾琢真、吉田栄作(特別出演)、木村多江
監督:青山貴洋、棚澤孝義、山本大輔、森裕史
脚本:櫻井剛、船橋勧
音楽:堤博明
制作プロダクション:TBS スパークル C&I エンタテインメント
製作:ドラマ「マイホームヒーロー」製作委員会・MBS
2023年10月24日火曜日 MBS0時59分〜 TBS1時28分〜放送
映画「マイホームヒーロー」2024年3月8日公開!
写真/嶋田礼奈(講談社写真映像部)
ヘアメイク/晋一朗(IKEDAYA TOKYO)
スタイリスト/勝見宜人 (Koa Hole inc.)
・シャツ¥36300
・ジャケット¥132000
・パンツ¥41800
/共に、コラム(エストネーション TEL 0120-503-971)