QuizKnockと講談社がつむぐ「本」と物語の未来とは?「推し文大賞」で広める「ありえない物語」
自分だけの特別な本を持てる喜び、それを「推していく」喜びとは?
2023.05.20
講談社の目指す「ありえない物語」とQuizKnockの共鳴
もともと講談社には「おもしろくて、ためになる」という社是が創業当時よりあり、グローバルブランド戦略の一環として刷新したのだという。
今回の受賞者の中にも「今回の受賞作の本とはQuizKnockさんの講談社文庫のフェアで出会った」(池濱碧衣さん/高校生の部・優秀賞・推し本:『すべてがFになる」森博嗣・著)という声もあるように、QuizKnockと講談社の共鳴関係は浅からぬものであることから、今回のコンクールのアンバサダーをするに至ったという。
伊沢拓司さんの考える「推し文」と読書感想文の違い
そんなスポーティでトリッキーだという難易度の高い推し文の受賞作品とはどんなものだったのだろう?
「15年前自分が中学生のときにこの賞に応募するとなったら、外連味(けれんみ)に溢れる=ちょっと変わったことをして目立ってやろうとしたと思うのですが(笑)、今回の応募作品はきちんとしていて、かつ面白く読み進められるものでした。中学生ゆえの伝える難しさがあると思う。たとえば、大人と中学生の『これまでに読んだことがない』は伝わり方がまったく違います。城下さんの作品はエピソードの選択やまとめ方に客観性がうかがえました。中学生のほうが使える武器が少ないにもかかわらず、真摯に高い壁をよじ登ったということが素晴らしいと思います」
高校生ならではの「悩み」の生々しさ
「高校生には高校生ならではの生々しさがありました。自分の高校生時代を思い返しても選択肢が増えさまざまな悩みが増えていった時期でした。そんな自分の悩みに精一杯になりがちな高校生という時代に、ほかの人に何かをおすすめする、ということは非常に貴重なことだと思います。今回の高校生の部も悩みをテーマにした作文が多いのがリアルでした。他人に文章をおすすめすることで自分の悩みが鮮明に表れていました。人に本をすすめる面白さがありました」
山本さんから賞状を授与された「みんなが集う場所」で最優秀賞を受賞した玉木まりあさんの推し文は、「人生の選択を迷っている人に向けて『しずかな日々』(椰月美智子・著)を人生を振り返る機会として読んでほしい」という文章で締めくくられており、非常に「悩み」と「人生」がリンクした「推し文」となっていた。